ミルラとは没薬(モツヤク)とも呼ばれる植物で、古くから香や薬として利用されてきました。甘さの中にスモーキーさを感じられる香りは、心を落ち着け、不安を取り除いてくれるでしょう。本記事では、ミルラの特徴や精油の効果効能の他、おすすめの使い方や相性の良い精油などを紹介していきます。
ミルラの特徴や香りの印象
ミルラは非常に長い歴史を持っており、古くから人々に重宝されてきた植物です。まずはミルラの特徴や精油、香りについて紹介していきます。
ミルラの基礎知識
ミルラは、カンラン科に分類される低木の常緑樹。和名では没薬(モツヤク)と呼ばれ、花言葉は「真実」です。
ミルラの歴史は長く、4,000年前から既に人々に用いられてきました。古代、ミイラを作る際にはミルラが防腐剤として使用されたそうで、ミイラの語源はミルラが由来しているという説もあります。
ミルラ精油のプロフィール
ミルラ精油は、樹脂から水蒸気蒸留法で抽出されます。ミルラ精油は粘度が高く、固まりやすい性質を持っているのが特徴的です。香りはバルサム・レジンノートに分類され、香りの強さは中程度。持続性はミドルノートです。なお、ミルラには複数の種類があるため、産地によって香りなどにばらつきが見られます。
ミルラ精油の主な香り成分は、オイゲノール、クミンアルデヒド、α-ピネン、リモネンです。ただし、これらの成分も香りと同様に、ミルラの種類によって含まれるものが異なる場合があります。
ミルラ精油の香り
ミルラは樹脂から抽出される精油らしい、濃厚で甘さのある、ややスモーキーな香りを楽しめます。陶酔感を高めてくれるため、リラックスタイムはもちろん、ヨガや瞑想をする時にも最適な香りと言えるでしょう。
ミルラ精油の効果効能
ミルラ精油は、心身にさまざまな良い効果をもたらしてくれます。ここからはミルラ精油の効果効能について、ジャンル別に解説していきます。
精神面への効果効能
古代から儀式などの際に使用されてきたミルラの香りは、心を穏やかにする効果を持っていると言われています。香りに包まれていると、不安や緊張が自然と取り除かれ、リラックスした気持ちになれるでしょう。
ミルラ精油の香り成分に含まれるα-ピネンは、スギやヒノキなどの木材に多く含まれています。また、リモネンはオレンジやレモンなどの柑橘系に多く含まれている成分。どちらの成分もリラックス効果が高いため、ミルラの精神面への高い効果が期待できます。
美容面への効果効能
防腐剤として用いられてきた歴史を持つミルラは、殺菌・消炎作用に優れた精油です。そのため、傷の改善や皮膚の炎症を抑える効果が期待できる他、乾燥によるかかとのひび割れや、あかぎれにも有効とされます。それだけではなく抗酸化作用も持っているので、日焼け後のお肌のケアや、シワやシミの予防にも期待できます。
健康面への効果効能
ミルラの持つ消炎作用は、美容面だけでなく健康面にも効果があると言われています。特に高い効果を発揮するのは、口内炎や歯槽膿漏などの口内トラブル。事実、厚生労働省が発表している資料内※には「歯又は口腔(くう)用剤、吸入噴霧剤及び含嗽(そう)剤」にミルラが成分として入っているという記述があります。
その他に、ミルラは気管支炎や喉の炎症の緩和、水虫や湿疹、下痢といった不調にも効果が期待できます。また、月経を促進する通経作用もあるため、生理不順の改善にも役立ってくれるでしょう。ただし、通経作用は悪い方に働く場合もあるため、妊娠中や授乳中はミルラ精油の使用は避けてください。
※参照:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/10/s1022-7e3.html
(厚生労働省:配置販売品目の製品群と主な製品)
(厚生労働省:配置販売品目の製品群と主な製品)
家庭で楽しめるミルラ精油の使い方・注意点
ミルラ精油を家庭に取り入れて、香りや効能を楽しんでみてはいかがでしょうか。ここからは、家庭で手軽に取り入れられるおすすめの使い方を紹介していきます。
芳香浴や沐浴法でリラックス
まずはミルラの香りでリラックスできる、手軽な取り入れ方の紹介です。
<芳香浴>
芳香浴とは、アロマポットやディフューザーを使用して、空間に香りを拡散させる精油の使用方法です。専用の器具がない場合は、ハンカチやティッシュに精油を1~2滴垂らして香りを楽しむのもおすすめです。ただし、ハンカチを使用する際は色移りしてしまう恐れがあります。色が付いてしまっては困るハンカチは、芳香浴に使用しないようにしましょう。
芳香浴とは、アロマポットやディフューザーを使用して、空間に香りを拡散させる精油の使用方法です。専用の器具がない場合は、ハンカチやティッシュに精油を1~2滴垂らして香りを楽しむのもおすすめです。ただし、ハンカチを使用する際は色移りしてしまう恐れがあります。色が付いてしまっては困るハンカチは、芳香浴に使用しないようにしましょう。
<沐浴法>
無水エタノールにミルラ精油を1~5滴混ぜてから、浴槽に入れる楽しみ方です。お湯の温もりとミルラの香りで、癒しのひとときを満喫してみてはいかがでしょうか。乾燥や肌荒れ予防にもなって一石二鳥です。
無水エタノールにミルラ精油を1~5滴混ぜてから、浴槽に入れる楽しみ方です。お湯の温もりとミルラの香りで、癒しのひとときを満喫してみてはいかがでしょうか。乾燥や肌荒れ予防にもなって一石二鳥です。
吸入法やマッサージで鼻詰まりや喉の痛みを予防
<吸入法>
咳が出る、または喉の痛みを感じる時は、吸入法がおすすめです。まずは洗面器やマグカップにお湯を入れ、そこにミルラ精油を1~3滴垂らします。そして、蒸気で立ちのぼる香りを鼻から吸い込んでみてください。タオルを頭から被って、蒸気が逃げないようにする方法もあります。
<マッサージ>
鼻が詰まっている時は、ミルラ精油を使った小鼻のマッサージがおすすめです。キャリアオイル15ccに対してミルラ精油を3滴とティーツリー精油を1滴混ぜたら、小鼻回りをくるくるとマッサージしましょう。
手作りハンドクリームで手荒れを解消
ミルラや他の精油を使って、ハンドクリームを手作りする楽しみ方もあります。ミルラ精油の持つ肌を活性化してくれる作用を利用して、ハンドケアを行ってみてはいかがでしょうか。
<用意するもの>
- 耐熱性ガラスビーカー
- 耐熱性ガラス棒
- クリームを入れる耐熱容器(アルミ缶など)
- ミツロウ3g
- ホホバオイル15g
- ミルラ精油、カモミール・ローマン精油各1滴
- ラベンダー精油2滴
<作り方>
- ビーカーを使ってミツロウとホホバオイルを湯煎する
- 白くなるまでガラス棒で混ぜる
- ミツロウが溶けたら湯煎をやめて、粗熱をとる
- 粗熱がとれたら精油を加え、さらによく混ぜる
- 容器に移し替えて固まったら完成
<注意点>
- 湯煎をする際は火傷に注意しましょう。
- 作ったハンドクリームの使用期限は2ヵ月が目安です。
- 人によっては肌に合わない場合もあるため、使用前にはパッチテストを行いましょう。
- 安全性を考えて、赤ちゃんや子どもの肌に使うのは避けてください。
ミルラ精油を使う際の注意点
ミルラ精油は粘度が高くて固まりやすい性質を持っているため、使う際に出にくい場合があります。特に冬など、気温の低い日に固まりやすくなりますが、手でボトルを包んで温めると少しずつ溶けていきます。その他にも、竹串などを使って1滴分ずつ取るのも手段の一つです。
また、ミルラを始めとする粘度の高い精油をアロマディフューザーなどの機械に使うと、ノズルなどが詰まる恐れがあります。故障を防ぐためにも、使用前は機械の注意書きや説明書を確認しておきましょう。
なお、ミルラ精油が固まってしまうのが気になる場合は、柑橘系など粘度の低い精油とブレンドして薄めるのもおすすめです。
ブレンドにおすすめ。ミルラ精油と相性の良い香り
ミルラ精油は単体で使うだけではなく、他の精油とブレンドを楽しむのもおすすめ。相性の良い精油を紹介していくので、ぜひブレンドの参考にしてみてください。
元気を出したい時は「フランキンセンス」
フランキンセンスは、ミルラと相性の良い精油の代表格と言える存在です。現在でも教会のミサなどでは、ミルラとフランキンセンスの香が使用されています。フランキンセンスはミルラと同じバルサム・レジンノートに属し、ウッディかつスパイシーな香り。それだけではなく、柑橘系のようなすっきりさも兼ね備えています。
爽やかな気分になりたい時は「オレンジ・スイート」
ミルラ精油を柑橘系とブレンドするなら、オレンジ・スイートがおすすめ。オレンジ・スイートは、ほとんどの精油と調和が取れるとも言われている万能さが魅力です。名前通り果物のオレンジのような、みずみずしくフレッシュな香りを楽しめます。ブレンドすると、みずみずしくフレッシュな香りに、ミルラのスパイシーな香りがアクセントとしてプラスされます。
リラックスしたい時は「ゼラニウム」
フローラル系に分類されるゼラニウムも、甘く芳醇なミルラの香りと相性が良い精油です。甘さと重厚さのある薔薇のような香りに包まれて、優雅でロマンチックな気分を満喫してみてはいかがでしょうか。ゼラニウムの香りは中~強なので、ブレンドする際は少なめにしておくのがポイントです。
ミルラの香りや効能を日常生活に取り入れて
甘くスパイシーな香りが魅力のミルラ。心を穏やかにしてくれるリラックス作用だけではなく、健康や美容に関する効能も持っているので、さっそく日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。他の香りとのブレンドも、ぜひ楽しんでみてくださいね。
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