多くの女性を悩ませる更年期の症状には、精油を使った自然療法であるアロマテラピーが効果的とされます。アロマテラピーはさまざまな楽しみ方があり、どれも手軽なので毎日の生活に取り入れるのがおすすめです。この記事では、アロマテラピーのメカニズムや更年期におすすめな理由を始め、アロマテラピーの楽しみ方、おすすめの精油などを紹介します。
アロマテラピーと更年期の関係性とは?香りが作用するメカニズム
植物から抽出した精油を使って、心と体を健康にする自然療法のアロマテラピーは、多くの女性が悩む更年期の症状にも効果が期待できます。ここではアロマテラピーが更年期におすすめな理由と、精油・アロマテラピーについて紹介します。
アロマテラピーが更年期におすすめな理由
更年期障害の主な原因とされるのは、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量減少によるホルモンバランスの乱れです。エストロゲン様作用を持つ精油を使用すると、女性ホルモンの分泌量やホルモンバランスを整えられると言われており、更年期特有のさまざまな症状の緩和・軽減に期待できます。
アロマテラピーは精油を使った自然療法
アロマテラピーは、精油を使って心と体のトラブルを回復する自然療法です。精油は、植物から抽出した香り成分で「エッセンシャルオイル」とも呼ばれます。人々は古くから身近にある植物を薬草として、傷や病気の治療として塗ったり、香りを嗅いだりして利用してきました。このような植物療法は、現代医学の元となっています。
その中でも、特に香りに注目したのがアロマテラピーです。研究が進んだ現在では美容や健康、リラクゼーションの他、医療や予防医学などに幅広く活用されています。この後に詳しく紹介しますが、アロマテラピーが更年期症状の緩和に有効だという研究結果も発表されています。
アロマテラピーのメカニズム
精油が心身に作用する経路は2つあります。1つ目は嗅覚器、2つ目は皮膚と呼吸器です。
五感の一つである嗅覚で匂いを感じると、その情報はダイレクトに脳へ伝わります。香りの分子を嗅覚がキャッチすると、感情や本能をつかさどる「大脳辺縁系」や、自律神経系をつかさどる「視床下部」にその情報が伝達されます。それによって体温や睡眠、ホルモンの分泌、免疫機能などのバランスが整えられるのです。
また、皮膚や肺から吸収された精油成分は血液を通して細胞や器官に届き、身体に働きかけます。
更年期の症状を緩和したい時は、この後に紹介するアロマテラピーの中から自分に合う方法を楽しんでみてはいかがでしょうか。アロマテラピーのメカニズムについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
【簡単】更年期におすすめ、アロマテラピーの楽しみ方
ここからは、数あるアロマテラピーの楽しみ方の中から、更年期の症状を緩和したい人におすすめの方法を紹介します。毎日の生活に取り入れて、つらい更年期症状を乗り切りましょう。
アロマテラピーを手軽に楽しめる「芳香浴」
芳香浴は、精油を空気中に拡散して香りを楽しむ方法です。手軽にできるのは、ティッシュやハンカチに精油を1~2滴たらす楽しみ方。枕元や机に置いておくだけで香りが漂い、リラックスできます。
その他にも、アロマディフューザーがあれば香りを効率的に拡散できて、部屋中を良い香りで満たせます。芳香浴は手軽に楽しめる方法なので、アロマテラピーの入門としておすすめです。
【注意点】
- 色がついたら困るハンカチには精油を使用しない
肩こりが気になる時におすすめ「湿布法」
更年期では、多くの女性が肩こりに悩まされています。そこでおすすめなのが、タオルなどを体の一部に当てる湿布法です。タオルを温める「温湿布」は肩こり、腰痛、生理痛など慢性的なトラブルに、タオルを冷やす「冷湿布」は急性のトラブルに効果があると言われています。更年期の症状に悩んでいる時は、ぜひ「温湿布」を試してみてください。
【温湿布のやり方】
- 洗面器にお湯を入れ、お好みの精油を1~3滴たらす
- タオルを縦に二つ折りする
- お湯をすくい取るようにし、タオルの中央部に付着させる
- お湯を含んだ面が内側になるように折りたたみ、軽く絞ってから気になる部位に当てる
- タオルの温度が冷めたら3・4を繰り返し、「心地よい」と感じるまで続ける
【注意点】
精油の種類によっては刺激を強く感じる場合があるため、湿布を当てる部位や時間に注意が必要です。湿布法を行う際は、以下の注意点を守ってください。
- 精油は水に溶けにくいため、皮膚に直接触れないよう注意する
- 目の周りや皮膚の弱いところへの使用は控える
- 初めて行う時は肌の変化を特によく観察する
- 刺激の強い精油を使用する場合は、かぶれやすい部位には当てない
- 刺激を感じたら中断する
むくみが気になる時に試したい「トリートメント法」
トリートメント法は、精油の濃度を下げたトリートメントオイルを顔や身体に塗布する方法です。リラックス、保湿、整肌の他に、血行促進や筋肉の凝り緩和などの効果が期待できるため、更年期のむくみが気になる時にもおすすめです。
トリートメントオイルは植物性のオイルをベースにして、精油を1%以下の濃度になるように混ぜて作ります。顔に使う場合は、さらに濃度を低くして0.5%以下になるようにしてください。完成したトリートメントオイルを顔や身体に優しく塗り、マッサージしましょう。
【注意点】
- 敏感肌など肌が弱い人は、まず低い濃度で試すこと
【更年期の緩和】アロマテラピーにおすすめの精油
更年期の緩和にアロマテラピーを取り入れるなら、症状の改善に期待ができる精油を使うのがおすすめです。今回はゼラニウム、クラリセージ、ローズマリーの3つを紹介します。
ゼラニウム
ゼラニウム精油はやや甘く、青みがかったバラのような香りです。公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)が行った、更年期症状に対するゼラニウム精油を使った研究※で、更年期症状の緩和に有効であることが示されています。
研究では、ゼラニウム精油は不安感の改善や活力の向上といった精神面だけでなく、肌や髪のうるおいアップ、抜け毛の改善などにも効果が見られたようです。更年期の症状に悩んでいる人は、まずはゼラニウム精油を使ってみてはいかがでしょうか。
※出典:公共社団法人 日本アロマ環境協会「ゼラニウム精油の香りが更年期特有の症状を軽減!?」
クラリセージ
クラリセージ精油は、パウダリーでやや甘い香りを楽しめます。主な香り成分は酢酸リナリル、スクラレオール(特徴成分)、リナロールです。これらの成分には女性ホルモン様作用があるため、乱れたホルモンバランスを整える効果が期待できます。
ローズマリー
ローズマリー精油は、気分をすっきりとさせてくれる清涼感のある香りです。頭が重くぼんやりする、やる気がでない、無気力といった症状の緩和や、ストレスなどによる精神的疲労の回復効果が期待できます。ストレスや疲労は更年期症状の悪化へとつながる恐れがあるため、イライラする時、疲れが溜まっている時は、ローズマリー精油を使ったアロマテラピーがおすすめです。
アロマテラピーを行う時の注意点
精油は心と体にさまざまな良い効果をもたらしてくれますが、間違った使い方をしてしまうとトラブルを引き起こす恐れもあります。ここでは、精油を扱う時の注意点について紹介します。
必ず精油を使う
アロマテラピーは、100%植物から抽出された精油(エッセンシャルオイル)を使います。「ポプリオイル」や「フレグランスオイル」は精油ではなく、人工香料です。「アロマオイル」と表記されているものも、精油とは異なる場合があるので注意してください。
アロマテラピーをする際は、「精油」「エッセンシャルオイル」と記載のあるものを選びましょう。
精油の原液は肌につけない
精油の原液は刺激が強いので、直接肌につけてはいけません。マッサージなど、肌に直接つける場合はキャリアオイルなどで希釈して使います。
万が一、誤って精油の原液が直接肌についてしまった場合は、すぐに水で洗い流してください。赤みや刺激、発疹など、皮膚に異常がみられた場合は医師の診察を受けましょう。
精油を目に入れない
目は肌よりも敏感な部分です。精油のついた手で目をこすったり、誤って目に入れたりしないように注意しましょう。誤って目に入ってしまった場合はすぐに水で洗い流し、こすらないように注意しつつ眼科医師の診察を受けてください。
精油を飲まない
精油によっては経口毒性があるため、原液はもちろん、希釈したものであっても口に含んだり飲んだりと、摂取してはいけません。誤って飲んでしまった場合は、大量の水で口をすすぎます。
子どもが飲んでしまった場合は、吐かせずに医師の診察を受けましょう。受診する際は飲んでしまった精油のボトルか、精油名と飲んだ量を記載したメモを持参しましょう。
苦手な香りを無理に使わない
自分の抱える悩みに効果のある精油でも、苦手な香りでは逆にストレスを感じてしまうこともあります。アロマテラピーはリラックスすること、楽しむことがメインであり、使う精油に決まりはありません。自分の好きな香りの精油や、嗅いだ時に心地よいと感じた精油を使ってくださいね。
アロマテラピーを取り入れて、つらい更年期を乗り切ろう
植物から抽出された精油には、女性ホルモンと似た働きをするものもあるため、更年期の症状を緩和する効果が期待できます。更年期の症状に悩まされている時は、精油を使ったアロマテラピーを取り入れるのがおすすめです。効果効能に頼りすぎるというわけではなく、好きな香りを楽しんでリラックスしてくださいね。毎日の生活にアロマテラピーを上手に取り入れて、つらい更年期を乗り切りましょう。
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