現在では少数民族保護や先住民族認定の動きが強まっていることからアイヌ民族もその対象となっています。
現在は自分がアイヌ人の地を引くことを誇りに思い、アイヌ民族への理解を深める活動を行っている人もたくさんいます。
そのため現在ではかつてアイヌ民族が暮らしていた集落は観光名所の一つとなっており、アイヌ民族は歴史上でも有名な民族として世界中で知名度が広がっています。
現在はアイヌ人の純血はいるの?
現在でもアイヌ人の血を引く人たちは現在でもたくさんいますが、アイヌ人の純血は現在ではもう存在しないという見方が強いとされています。
アイヌ人は迫害などの歴史的背景や、和人が北海道に運んでしまった伝染病がきっかけで、現在では大きく人口が減ってしまったとされています。
北海道では元々疫病の流行がなかったため、アイヌ人は寒さには強いものの病気に対する免疫力はなく、アイヌ人の間で伝染病が発症すると一気に道内の人々に拡大しました。
アイヌ人が感染した伝染病は天然痘、ペスト、梅毒といったもので、これらの和人が持ち込んだ病原菌はアイヌ人だけでなく北海道の生態系を壊滅的に破壊したと研究者は唱えています。
度々道内で起こった伝染病の流行と加速していったアイヌ人への迫害から、一部のアイヌ人は自分たちが暮らした場所を離れ、別の地でアイヌ人であることを隠し生活する人々もいました。
これらの歴史から、現在アイヌ人の純血は存在しない、存在したとしても現在では純血であるという立証をすることが非常に難しいとされています。
アイヌ人の血を引く芸能人は?
俳優・宇梶剛士さんの母親の宇梶静江さんはアイヌ民族の出身で、絵本作家や詩人として活動されていました。
宇梶剛士さんは2004年には大河ドラマ『新選組!』で西郷隆盛役として出演しており、国民的俳優としても有名です。
宇梶静江さんはアイヌ民族であることを理由に差別を受け北海道で就職ができなかったことから、道内での暮らしをやめて上京し、東京で作家として活動する傍らで「アイヌ利権解放運動家」としても尽力されていました。
アイヌ民族を扱う現在の作品は?
アイヌ民族について分かりやすく知りたい場合は文献資料を読むよりも、アイヌ民族に関する雑学を取り扱う作品を読むことで、アイヌ民族についての理解が深まるのではないかと思います。
アイヌ民族を取り扱う作品は、現在では雑学的なものを含め小説やマンガ、ゲームなど多岐にわたりますが、最近では「ゴールデンカムイ」というマンガが2016年マンガ大賞を受賞したことで、若い世代にもアイヌ民族の暮らしや雑学について知る機会が生まれました。
「ゴールデンカムイ」は明治時代末期の北海道が舞台の作品で、アイヌ人の登場人物もたくさん登場します。
「ゴールデンカムイ」は実際のアイヌの文献や取材、監修に基づいてアイヌ人の文化や習慣が描写されていることから、マンガでアイヌへの理解や雑学を深めたい人にはおすすめの作品です。
アイヌの歴史や文化から現在の私たちが学ぶこと
アイヌ民族の現在や歴史や文化、雑学についてご紹介しました。
アイヌ民族は自然と共に生活し、自然を神と崇拝して生きてきた人々です。
アイヌ民族の人々は農業や漁業で一生懸命暮らしを立ててきた人たちであり、侵略や差別などの迫害を受けるような悪い行いや罪を犯してきたわけではありません。
歴史的に見ても、天下統一などの名分で権力を持つ人々が不当な理由でアイヌ民族を迫害してきた事実が残っていますが、アイヌ人という理由だけで差別されることは決してあってはならないことです。
アイヌ人への差別や迫害の歴史を通して、現在の私たちも身近な人への偏見や差別を持たない心を学ぶことができるのではないでしょうか。