【はじめに】房中術って何?
房中術ってご存知ですか?
初めて聞く人には、何か武術か、あるいはおまじないのように思えますよね。
実は房中術とは、道教で教えられているセックスの心得のことです。
「房」は部屋やベッドのこと。その中での術ということで、何かとっておきのセックステクニック?と思われるかもしれません。が、決して激しい方法を用いたりはしません。
房中術は、中国のそれまでの長い歴史の蓄積から生み出され、道家たちによって支持され、洗練されてきた考え方です。房中術の考え方では、男女がお互いに気を交換し、セックスを通じて健康な体を得られるとされています。一種の養生術ですね。
セックスで欲を満たすのが目的ではなく、男女どちらかに無理を強いることもないので、マンネリ気味のカップルや夫婦にもぜひ取り入れていただきたいところです。
そんな房中術の考え方や方法、そして効果についてさっそく見ていきましょう!
房中術はセックスを通じた養生術!
房中術、道教で道家によってセックスの方法まで教えられていた、ということ自体がちょっと驚きですね。
中国では他の民族や国家が容易に攻め入りやすいため、国が成立しては滅び、王家といえども欲に走って一家が断絶するケースも多くありました。そのような過去の知恵や反省も含めて、男女が互いに養生し合い、子をなすための房中術が生まれたのです。
道家が守ってきた房中術の教えも、禁欲的な仏教の広まりによって廃れてしまいます。「セックスを教えるなんてけしからん」と権力者に弾圧され、途絶えてしまった教えもあります。ですが近年になって房中術の文献が中国で発見され、その内容や具体的な方法が明らかにされてきています。
中国医学では、「医食同源」という言葉が有名なように、普段の生活で養生を心がける予防医学が発達しています。病気になってから薬や手術などで対処療法をする西洋医学とは対照的ですね。
房中術も、単にセックスを楽しむ技としてではなく、節度あるセックスを通じて健康や若さを保つ養生術として、道家によって守られ教えられてきました。
「セックスで健康が保てる」「きれいで若々しくなれる」という話は聞いたことがあるでしょう。房中術を取り入れれば、現代人もセックスを養生術にすることは十分に可能です。
■参考記事:セックスで健康になれる?コチラも参照!
房中術のカギ、中国の陰陽五行思想って?
房中術を理解するためには、中国の陰陽五行思想を知っているとスムーズでしょう。
五行思想は、世界のすべての構成要素を火・木・水・金・土に分類する考え方。陰陽思想とは、世界を構成するすべてのものは陰と陽に分かれており、それらが気を交換して循環することによって世界がうまく回る、調和する、という考え方です。
陰と陽、つまり女と男、夜と昼、月と太陽、冷たさと温かさ、といった具合に対をなすもののことですね。房中術ではまさに、男女が気を交換するところがポイントになっています。
道教や陰陽五行思想は、仏教・儒教などとともに中国から日本にも伝わりました。平安時代の陰陽師は有名ですね。現代でも支持されている占いの方法としてもおなじみです。
そう考えると、房中術もルーツは同じ。考え方や方法を知れば「なるほど」と腑に落ちる部分も多くあり、実践しやすいのではないでしょうか。
房中術の肝、男女での導引
房中術では、セックスして実際に男女が交わることだけが目的ではありません。気の交換をすることが要になるので、セックスしない状態についても教えが伝わっています。
道教では、「導引」とよばれる身体技法が伝えられています。導引とは、気を吸収するための一種の養生術です。呼吸法などとともに導引を行い、気のエネルギーを体に取り込みます。
今日はちょっとセックスをしたい気分ではないな、という時でも、房中術の導引を行えば、体を交わらせることをしなくても男女で気の交換をすることができます。心を整えて男女が向かい合って座るだけでも、立派な房中術となりえます。
導引自体は、道家にとってはメジャーな養生法で、一人でもグループでも行えます。
ただ、「男女で座っているだけで気を交換できるの?」と初心者にとっては疑問に思われるでしょう。ある程度のテクニックも必要なので、道家の指導の下で導引術を身につけてからの方が確実です。