妊娠初期のレントゲン撮影は大丈夫?胎児への影響は?健康診断では?

目次

妊娠初期の被ばく影響①:奇形、流産

妊娠初期に一定量以上被ばくすると、胎児に奇形が出る可能性があるといわれています。妊娠初期は胎児の細胞分裂や分化が盛んで、放射線による影響を受けやすい時期です。そのため、妊娠期間のうちどの時期に被ばくしたかによって影響の出る部分が違ってきます。

一方妊娠3週末までの妊娠超初期はまだ器官形成期に入っていませんので、この時期に被ばくをしても奇形を起こすことはありません。妊娠超初期に一定量以上の被ばくをした場合、妊娠に至らないか、もしくは妊娠しても流産になります。

妊娠初期の被ばく影響②:発がん、発育遅延

妊娠9週以降の胎児期に一定量以上被ばくすると、発がんや遺伝的影響、発育遅延、精神遅滞などの影響が出る可能性があります。胎児期に被ばくすることで、無事に生まれても発がんリスクが高まったり、発育の遅れが出ることがあります。また、放射線によって胎児の生殖器に影響が出る可能性もあり、生まれた赤ちゃんが成長して不妊になるなどの影響も考えられます。

影響が出る放射線量は?妊娠時期別に解説!

妊娠初期の放射線による胎児への影響は、どの時期にどれくらいの放射線を、どの部位に受けたかによって違ってきます。ICRP(国際放射線防護委員会)によると、妊婦さんが被爆をして影響が出る「しきい値」は100mGy~200mGyとされています。「しきい値」とは、影響が出る放射線量の最低の値のことです。一般的に、妊娠4週~10週でのしきい値は100mGy、妊娠10週~27週で120mGyといわれています。

mSv(ミリシーベルト)でいうと?

日常的に被ばく量を表す単位はmSvですので、この単位でいうとどれくらいの被ばく量で胎児に影響がでてくるのでしょうか。まず、受精後0~9日の時期に50~100mSv以上被ばくすると、受精卵が死んでしまい妊娠が成立しない、または流産する可能性が出てきます。妊娠4週~12週では100mSv以上で奇形が発生したり流産する可能性があります。

さらに、妊娠12週~27週で120mSv以上被ばくすると発育遅延や精神遅滞などの影響の可能性が出てくるとされています。なお、国際放射線防護委員会は、妊娠から出産までに妊婦が受ける被ばく量が10mSvを超えないようにすべきだとしています。

妊娠初期でも大丈夫!?レントゲン検査の被ばく量は

病院での検査や健康診断で受けるレントゲン検査やバリウム検査、CT検査では、1回あたりどのくらい被ばくするのでしょうか。公益社団法人日本放射線学会によれば、レントゲンやバリウム検査、CTなどの通常のX線診断検査において、胎児に影響が出てくる100mGyという放射線量を超えることは極めてまれだとされています。

では、レントゲンによる胎児への被ばく量はどのくらいかというと、胸部レントゲンで0.01mGy以下、腹部レントゲン1.4mGy、腰椎レントゲンで1.7mGyです。バリウム検査では1.6mGyです。CT検査は頭部0.005mGy以下、胸部0.06mGy以下、腹部8.0mGy、骨盤部25.0mGyです。胎児に影響が出る100mGyよりかなり低い値ですので、レントゲンやCTによる胎児への影響は心配ないと考えられます。

妊娠初期の健康診断、レントゲンは受けてもいい?

妊娠初期に会社などで健康診断を受けることもあるかと思います。健康診断の検査項目には、レントゲン検査があります。健康診断では、一般的に胸部X線単純撮影というレントゲン検査をします。この検査の被ばく量は0.01mGy以下と微量ですので、妊娠に気づかずに受けてしまったとしても心配ありません。

Related article /

関連記事

1 2 3 4
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次