お正月には門松、しめ縄、鏡餅などを飾りますよね。なんとなく習慣で飾っている方もいるかも入れませんが、それぞれの飾り方の決まりやその由来があるんです。ここでは、一つ一つ説明していきます。
①門松
まず、門松の飾り方です。門松や松飾りは、歳神様がいらっしゃる時の家の目印としての働きがあります。歳神様がいらっしゃった時にどの家を訪問したら良いのかを教えてくれるだけでなく、歳神様の依代(よりしろ)にもなります。
②しめ縄
次にしめ縄(しめ飾り)の飾り方です。しめ縄は「自分の家の汚れを大掃除で拭い去り、歳神様をお迎えできるように清浄な場所、つまり神聖な場所にしました」という目印なのです。くれぐれも、掃除をしていないのにしめ縄だけ飾ってしまうのはやめてくださいね。
③鏡餅
そして、鏡餅の飾り方。鏡餅はお米から出来ていますよね。つまりお米を歳神様にお供えしているのです。鏡餅をお供えすることで、その年の穀物(=収穫)をお供えすることになります。神棚には「塩、水、米」を差し上げますが、そのお米がお餅に変わったと思ってください。
また、鏡餅は歳神様の「ご神体」と考えられ、「歳神様の拠り所」になるとも言われています。鏡餅は大小のサイズの違うお餅が重ねられていますが、大きい方を太陽、小さい方を月と捉えることもできます。「陽と陰」と考えることもできるのです。
いつ頃から飾る?
それでは、門松、しめ縄、鏡餅といったお正月飾りは、いつ頃飾り始めれば良いのでしょうか。お正月に間に合えば大丈夫?いえいえ、実は用意すべき期限があるのです。
お正月飾りは大掃除の期間、つまり12月13日から28日までに飾り付けましょう。理由は「大掃除」について説明した理由と同じです。29日は「苦(苦しむ)」で縁起が悪い、31日は一夜限り(お正月飾りの場合「一夜飾り」)で神様に失礼だからです。13日からなのはなぜかって?それはお正月飾りは大掃除をした後に飾らないといけないからです。掃除をしていないのに、掃除をして清浄な場所にした証のお正月飾りを飾るわけにはいきませんから。
お正月飾りは神様へのお礼の気持ち。しっかり掃除をして清めてから飾りましょう。
■参考記事:お正月飾りはいつからいつまで飾る?コチラも参照!
暮らしにまつわる歳神様(4)お正月の飾りの片付け方
先ほどは飾り方について説明しました。ここでは片付け方について説明します。お正月飾りは一年中飾ったりはしませんよね。お礼の気持ちを込めながら、時期が過ぎたら片付けてしまいましょう。
その時には、ゴミ箱にそのまま捨てるのではなく、お清めをしてから捨てるようにしたいものです。ポイっと捨てては、お礼も何もあったものではありません。
お清めの仕方は簡単です。まず、飾りを包めるほどの大きな紙を用意します。その紙に「左、右、真ん中」の順にお清めの塩を振り、お正月飾りを包んで捨てるだけです。その時には他のゴミと一緒にしないで、飾りだけを袋にまとめるようにしましょう。飾りが大きくて始末に困ったら、ハサミで飾りを切っても構いません。
今のご時世、庭などで燃やすことは難しいですが、燃やす場合は、土を塩とお神酒で清めてから焼いてください。
片付ける時にも、「お清め」と「お礼」を心がけるのが肝心です。
暮らしにまつわる歳神様(5)おせち料理
今は昔ながらの伝統的なおせち料理だけではなく、和洋折衷など様々なメニューのおせち料理が出回っています。ご自宅で全て手作りをされるご家庭はもはや珍しいのかもしれません。
そんなおせち料理ですが、「お正月だからご馳走を食べよう!」とできたものではありません。これも歳神様に所縁があるのです。
おせち料理の意味
12月31日におせち料理を用意すると、歳神様にお供えします。歳神様は新年の朝日とともにいらっしゃいますから、朝になるとお供えから降ろし、私たち人間がいただくことになります。こうすることで、「人神共食(神様と人間が共に食べる)」という形になります。おせち料理には一つ一つ意味が込められていますが、それは全て「五穀豊穣、子孫繁栄、家族の健康と安全」を祈るもの。いかがでしょうか。神様にお願いすることと重なっていますよね。歳神様にお願いをしているわけです。
また、三が日はおせち料理をいただく習慣がありますが、これは歳神様をはじめ、やおよろずの神様に休んでいただくために、包丁も台所用品も一切使わないで済むように作り置きをしたことに由来します。ほら、「かまどの神様」などがいらっしゃるではないですか。料理をすると、お休みになれませんからね。いつもお世話になっているお礼としてお正月は休んでいただきましょう。