三大天使とは、ミカエル・ラファエル・ガブリエルのこと。この3人に、ウリエル・アリエル・アズラーイール・カマエルを加えたものを七大天使と呼びます。
実は、七大天使の内訳に確かなものはなく、教典や信仰によって違いがあります。その中で、三大天使は、キリスト教・ユダヤ教・イスラム教のどれもに名前がある定番の天使たち。また、三大天使にウリエルを加えた4人を四大天使と呼ぶこともあります。
三大天使ミカエル
ミカエルは、三大天使・七大天使の中でももっとも位の高い天使です。階級は大天使で、神が作った最強の天使とされています。
武装した男性の姿で、正義・火・東を司る天使です。人間を守り、「天使長」「天使軍の軍団長」と呼ばれることがあり、悪魔と戦っている姿で描かれることが多いです。
ミカエルのスペルは「Micheal」。「神に似たもの」という意味があり、英語圏の「マイケル」、ドイツ語圏の「ミハイル」、フランス語圏の「ミシェル」、スペイン・ポルトガル語圏の「ミゲル」など、多くの現代の人名の語源になっています。
実はミカエルは、堕天使として有名なルシファーの弟。天界戦争において、神に背いたルシファーと戦い、勝利したという戦歴もあります。
三大天使ガブリエル
ガブリエルは、「神の人」という意味の名前を持つ大天使。少女のようでもあり少年のようでもある、中性的な顔立ちが印象的な天使です。
聖母マリアに対して神の子・キリストを身ごもっていることを伝えたり、モーセを埋葬したり、ムハンマドにコーランを書き写させたりと、人間個人と直接的な関りを持ってきた天使でもあります。そのため、予言者として夢に現れたというエピソードが多数あります。
水・南を司り、神からのメッセージを伝えるメッセンジャーの役割も担っています。コミュニケーション問題の解決や、妊娠・育児に関する不安を解消してくれる天使として、人々に親しまれています。
三大天使ラファエル
ラファエルは、癒しの神。「神を癒す」という意味の名前を持ち、人々の健康を助ける役割を担っています。また、旅人の守護天使ともされ、人々が安全に旅ができるように見守っているとも言われています。
杖を持った旅人の姿で描かれることが多く、風・西を司っています。
七大天使ウリエル
ウリエルは、四大天使の中でも異端の存在とされています。
実は、ウリエルは新薬聖書に出てきません。そのため、キリスト教のカトリックではその存在が認められていませんが、イスラム教では重要な神とされています。また、745年のローマ教会会議にて堕天使に認定されてしまったこともあります。
ウリエルという名前は、「神の炎」「神の剣」という意味。そのため、太陽や火山と結び付けられ、自然現象を司る天使とも言われています。四大天使の中では、地・南を司っています。
ウリエルは、人間の生活の中に美を保つ役割があることから、芸術の守護天使ともされ、作家や芸術家にインスピレーションを与えてくれる存在と言われています。
七大天使カマエル
カマエルは、破壊の天使と呼ばれている大天使。名前の由来は「神を見る」です。
カマエルは、鎧を身に着けて長剣を持った戦いの天使であり、神に逆らう存在に容赦なく天罰を与えたり、天国の門を守ったりすることが役割です。
恐怖心や消極的な心から人々を守り、問題に向き合い解決する勇気と強さを与えてくれる天使とされています。
七大天使アリエル
アリエルは、「神の獅子」という意味の名前を持っている大天使。動物や自然の守護天使とされ、人間と自然界をつなぐ役割を担っているとされています。
また、自然界にある物質を守る天使ともいわれています。
七大天使アズライール
アズライールは、死を司る大天使。死後、肉体を離れて魂だけとなった人間たちが、死後の世界になじめるように手助けをしたり、身近な人の死を嘆く人を慰めたり、人間の死に深く関連しています。
アズライールは、全身に無数の目と口、舌を持ち、人間の罪を見破って裁きます。長い鎌を持った姿で描かれることもあり、この姿が死神の由来となったとされています。
また、すべての人間の名前が書かれた書物を持っていて、死去した人間の名前はそこから消されていくんだとか。
アズライールは、アダムの生みの親という伝承があります。最初の人間であるアダムとイブは神が作ったとされていますが、民間信仰では、天使たちが土を集めて作ったとされているんです。
多くの天使の中で唯一人間を作り出せたのが、魂や肉体について知識があったアズライールであるとされ、このときアズライールが作り出したのが、アダムなんだそうです。人類の生みの親というわけですね。
天使は人間を守り導いてくれる
いかがでしたか?
天使といえば、純真無垢な少年少女であり、純白の服を着て白い翼を持った人型の姿を想像する人が多いですが、これはあくまで最下級の天使たち。もっと上級の天使になると、人型とはかけ離れた姿をしています。
キリスト教・イスラム教・ユダヤ教・ゾロアスター教など、多くの宗教の中に天使は登場しています。
その名前や役割、定義は、宗教や宗派によって違いますが、共通しているのは、善良な存在であるということ。そして、神に仕え、神による正しい世界を目指して人間を導くということです。
ここで紹介した以外にも色々な天使がいて、無垢なだけの存在ではなく人間みたいな天使もいます。人間社会と同じく、天使の社会について調べてみるのも面白いかもしれませんね。