文芸誌『戦旗』の5月号で1929年に発表された小林多喜二の『蟹工船』。プロレタリア文学の代表作として、世界的にも高評価を得ており、いくつかの言語に翻訳されて出版されています。
実際に北洋工船蟹漁に従事していた博愛丸をモデルに、蟹工船にて酷使される貧しい労働者達を鮮烈な筆致で描いた群像劇です。よって、物語を通して特定の主人公がいないこともこの作品の特徴として挙げられます。
当時、新聞紙法へ抵触したことによる発売頒布禁止処分などを乗り越え現代に残る名作です。
青空文庫のおすすめランキング第4位:細雪/谷崎潤一郎
当時、多数の作家たちにより文芸評論等で取り上げられた上、高く評価され、現代でも読書アンケートや名著選でも必ず近代文学の代表作として挙げられる『細雪』。
物語の時代背景は1936年秋から1941年春。大阪船場で古い暖簾を誇る蒔岡家の4人姉妹、鶴子・幸子・雪子・妙子の繰り広げる日常生活の悲喜こもごもを通して、第二次世界大戦前の崩壊寸前の上流階級の大阪人の生活を描いています。
この本を献上された昭和天皇が、普段は本を読まないにも関わらずこの本だけは読了したという逸話も残されています。
青空文庫のおすすめランキング第3位:源氏物語/紫式部
平安時代中期に成立した紫式部さんの生涯唯一の物語作品として知られる『源氏物語』。
主人公の光源氏を通して、当時の恋愛、栄光と没落、政治的欲望と権力闘争など、作者である紫式部さんにとっての平安時代の貴族社会の表と裏を描き出した物語です。
下級貴族出身だった紫式部さんが、夫の藤原宣孝さんとの死別をきっか絵に、その辛さを忘れるために物語を書き始めたと言われており、それを踏まえて読むとまた新たな視点が広がります。
青空文庫のおすすめランキング第2位:レ・ミゼラブル/ヴィクトル・ユゴー
フランス・ロマン主義の詩人であり小説家のヴィクトル・ユーゴーが1862年に執筆したフランス文学の大河小説『レ・ミゼラブル』。彼の代表作として、現代でも舞台や映画化もされ続けている不朽の名作です。
題名の意味は日本語で「哀れな人々」。1本のパンを盗んだ罪で、結果的に19年間もの監獄生活を送ることになったジャン・ヴァルジャンの生涯を描いた作品です。
物語の随所にはフランス革命やナポレオンの第一帝政時代と百日天下、七月革命とそれに因する六月暴動の記憶などが散りばめられ、フランスの歴史を把握するための文献としても重要な役割を果たしています。
青空文庫のおすすめランキング第1位:こころ/夏目漱石
そして映えある第一位は、1914年の4月から8月まで朝日新聞に掲載された『こころ』です。これまでに700万部以上を売り上げており、「日本で一番に売れている」として売り上げ部数的にも文句なしの首位獲得です。
物語は「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の三部構成からなり、主人公の「私」と先生の交流を軸に穏やかな筆致ながら鋭く人間の真実に迫る傑作です。
青空文庫でおすすめの小説を読もう!
今回は青空文庫で無料で読める文学作品の中から、オススメの作品20作をランキング形式でご紹介しました。
青空文庫は無料で利用できるので、普段本を読まないけど読書に挑戦してみたい人や、本は手元にないけど読み返したいとう方には非常に役立つのではないでしょうか。
新生活は青空文庫で読書を楽しみましょう!