作品名:神の子どもたちはみな踊る
出版社:新潮社
発売日:2000/02
短編集
『UFOが釧路に降りる』、『アイロンのある風景』、『かえるくん、東京を救う』などの名品が並ぶ短編集の表題作です。物質的世界に拘泥することは正しいことではないと教えてくれるようで、目に見えるものの<奥>を見るようにと諭されるような、強いメッセージ性を持った言葉として響いてきます。
第3位:「自分に同情するな。自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」(ノルウェイの森)
作品名:ノルウェイの森
出版社:講談社
発売日:1987/09
形式:長編
いまだにタイトルの謎について論争のあるビートルズの楽曲を題名に使用した村上春樹さんの出世作です。小説の題名だけではなく、物語中、主人公が聴く音楽にもビートルズの『ノルウェイの森』が登場し、記憶を呼び起こす重要な役割を演じています。
「自分に同情する人間は下劣」と、なんとも辛辣でストイックな名言です。しかし、真の人間の強さを図る上で、このセリフは金言でしょう。自分が逆境に立って逃げたくなった時、この言葉で奮い立つというのもありかもしれません。
第2位:「あらゆるものは通りすぎる。誰にもそれを捉えることはできない。僕たちはそんな風にして生きている」(風の歌を聴け)
題名に込められた思想が、一気に花開くようなフレーズです。このフレーズだけを読み返しても、人生の極致に触れたと思える金言ですが、小説中の文脈を受けて読み浸る時、その戦慄のほとばしり方は尋常ではありませんので、ぜひ、まだ一読されていない方はどうぞ。
この名言に現れたような生き方を肯定するか、はたまた否定側の人間として生きるか。村上春樹作品は一見ライトに見えますが、その実、常に人生の選択を突きつけてくるメッセージ性はハードパンチャーとしての強さも兼ね備えています。
このデビュー作『風の歌を聴け』から25年後、村上春樹さんは『アフターダーク』で再びこの主題「つかみどころのないもの」への執着を世に問います。目に見えなかったり、捉えることができなかったり、不確かなものへのこだわりは、村上作品の作風の大きな特徴としてあげられます。その視点からも、ぜひ全作品に散りばめられた村上語録をチェックしてみてください。
第1位:「希望があるところには必ず試練があるものだから」(1Q84)
試練に陥った時などに、この言葉を浴びせられるときっと、不思議と勇気が湧いてくることと思います。一世一代のここぞという勝負時に、忘れたくはない己を鼓舞する名言と言えるでしょう。
『1Q84』では、見かけだけではない物事の本質ということにこだわる言説が多く、真実性への希求が裏打ちされています。「ほんとう」とは何なのか?この名言を抜き出して、『1Q84』の外観を振り返ると、「希望」と「真実」は一体のものであり、これを求めることには大きな試練が不可欠であることを教えてくれるようで、人生はチャレンジングなものだと実感します。
これからも村上春樹の名言に注目!
まだまだ現役で書き続けられるであろう村上春樹さんの新作は、今や国内だけではなく、全世界で新作が待ち望まれています。川端康成、大江健三郎に続く、日本人3人目のノーベル文学賞受賞もこの数年のうちに実現すると予測されています。これからも村上春樹さんの名作名言に要注目です。