このアルバムの制作中に桑田佳祐さんは食道がんを患い、治療のために製作は中止、CDの発売は延期となりました。復帰後TVでこの曲が披露された際、ファンから「涙が止まらなかった」という声もありました。桑田佳祐さん個人のエピソードも垣間見える、熱い人気を誇る名曲です。
「東京」
「東京」は2002年に発売された、ソロ名義では8枚目のシングルです。重厚でダークな音色のピアノとエレキギターで奏でられる、シリアスな雰囲気のロックバラードです。
街の灯が滲むほど 雨音が窓を叩く
幸せと知りながら 心にさす傘は無い
激しい雨に打たれる街の情景とともに、絶望や深い悲しみに彩られた心模様が描かれます。辛くて辛くて誰の励ましも届かない夜、誰もが経験あるでしょう。そんな時に寄り添ってくれる歌が「東京」なのではないでしょうか。
「本当は怖い愛とロマンス」
「本当は怖い愛とロマンス」は、2010年にソロ名義で発表された13枚目のシングルで、桑田佳祐さんがこの年の紅白歌合戦で披露した曲でもあります。
ちょっと意味深で恐ろしそうなタイトルですが、曲調はいたって朗らか。しかし歌詞をじっくり聞くと、恋人だった女性が別れたとたん態度が変わる様子が、男性目線で描かれています。
男の些細な仕草が
女は我慢できない
出逢った頃と違うよ
鋭い描写に思わずドキッとした方もいるのではないでしょうか。男女の機微をちょっとコミカルに描いたこの曲で、大人の恋の世界をのぞいてみて下さい。
「白い恋人達」
「白い恋人達」は桑田佳祐さん7枚目のソロシングルで、今では冬の定番としておなじみになった曲ですね。
外はため息さえ凍りついて
冬枯れの街路樹に風が泣く
あの赤レンガの停車場で
二度と帰らない誰かを待ってる Woo…
この曲では情景描写や「街路樹」「赤レンガ」などの固有名詞が、歌詞の世界観を作り上げています。主人公の置かれた状況が、目に浮かんできます。
今宵 涙こらえて奏でる愛のSerenade
今も忘れない恋の歌
雪よもう一度だけこのときめきをCelebrate
ひとり泣き濡れた夜にWhite Love
サビで使われる「Serenade」「Celebrate」のような韻を踏んだ歌詞は、幼い頃から洋楽に親しんできた桑田佳祐さんお得意のテクニックです。英語の部分もぜひ「日本語にしたらどうなるの?」と考えながら聴いてみて下さい。
「いつか何処かで (I FEEL THE ECHO)」
「いつか何処かで (I FEEL THE ECHO)」は1998年に発売された、桑田佳祐さんのソロ2枚目のシングルで、JALのCMソングにも使われました。
この曲では終わった恋の余韻に浸る男性の気持ちを、詩のように美しいフレーズに乗せて歌っています。