①ケバヤ
ケバヤという女性の伝統衣装は、ブラウスとワンピースを合わせたもののこと。クバヤと呼ばれることもあります。インドネシアだけでなく近隣の国でも着用されていて、元々は上流貴族のための服でした。
現代において、純粋なケバヤはあまり見かけることがなく、サロンケバヤと呼ばれるものが主流となっています。
サロンケバヤとは、巻きスカートであるサロンと、ジャケットとしてのケバヤを組み合わせたもののこと。空港職員やホテル従業員の制服として着用されています。
伝統的なケバヤには襟があり、胸元がV字カットされ開いています。ワンピース部分とジャケット部分はセットで仕立てられ、モチーフは、女性のものらしく花や蝶々が使われることがほとんどとなっています。
縦長のピッタリとしたシルエットで、ロングのチャイナ服やアオザイと通じるものがありますね。
②ヒジャブ
ヒジャブとは、多くのイスラム圏で見られる、女性の頭部を覆う布のこと。一般的なヒジャブのカラーは黒で、目だけを出すのが正式なスタイルとされています。
イスラム教はとても厳しい宗教であり、女性が肌や髪を出すことを良しとしません。血族以外の男性がいる場所で、このヒジャブの着用が法律で義務付けられている国もあります。
インドネシアでは顔全体を出すのが一般的で、カラフルなヒジャブを身に着けた女性を多く見かけます。しかし、地域によってはカラフルなものや目元以外を出す巻き方を敬遠するところもあります。
民族や地域、年代によって流行の巻き方があり、現地の人同士では、女性のヒジャブで出身地を言い当てられるんだとか。
ヒジャブの内側には、髪の毛が垂れてこないように被る「ニンジャ」と呼ばれるキャップがあり、インドネシア国内のユニクロなどでも販売されています。
インドネシアの民族衣装や伝統衣装を着るシーンは?
日本の民族衣装と言えば着物ですが、普段から着物を着ている人はまれですよね。初詣や夏祭りといった行事や、成人式での振袖、結婚式の白無垢や留め袖、お葬式での喪服ぐらいで、日常使いの衣類とは言えません。
では、インドネシアの伝統衣装はどんな場面で身に着けられているのでしょうか?民族衣装を着用するシーンごとに見ていきましょう。
①結婚式
結婚式は、日本でも正装の場面とされていますよね。新郎新婦は紋付袴に白無垢や打ち掛けを着用しますし、招待客も留め袖や振袖で出席する人は多いでしょう。
インドネシアでは宗教が重要視されるので、新郎新婦がどの宗教を信仰しているかで、スタイルが変わってきます。
イスラム式の結婚式では、新郎新婦も招待客も、男性はバティック、女性はサロンケバヤを身に着けます。キリスト教の結婚式ではウェディングドレスとタキシードとなります。
インドネシアの結婚式はとても豪華で招待客も多いので、招待客にカラーコードを設け、新郎側と新婦側を分けることも多いです。衣装を新調する招待客も多く、インドネシアの人々が衣類にかける情熱が伺えますね。
②バリ舞踊
バリの伝統的な舞踊であるバリ舞踊は、バリ・ヒンドゥーという宗教が基礎となっている踊り。踊り子である女性はケバヤを身に着け、楽器奏者である男性はブスカップを着用します。
イスラム教では女性の肌の露出を良しとしませんが、バリ舞踊はイスラム教ではなくバリ・ヒンドゥー教という独自の宗教が元とされているので、女性の衣装は肩が出ていても問題がありません。
③普段の生活
普段の生活の中でも、インドネシアの人は民族衣装を身に着けて生活することが多いです。巻きスカートであるサロンを身に着けますし、イスラム教徒である女性はヒジャブを頭部に巻いています。
職場の制服にも民族衣装であるケバヤが取り入れられていることもありますし、バリ島の男性は寺院を訪れる際に正装であるサファリを着用します。
また、政府が民族衣装の着用を推奨しているため、月に何度かは民族衣装を着る日が設けられています。