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一方事実婚で、法的には内縁の妻と呼ばれる立場になり、夫の扶養家族になっていても、戸籍などの記録には残りません。(逆に、事実婚夫婦であることを公的な書類で証明したい時は、住民票の続柄欄に妻(未届)と書いてもらうことができます)
事実婚とは、事実上は夫婦でも、法律上は同棲と同じように扱いになるため、このようなことが起こるのです。
今の時代、離婚歴があることを隠して再婚しようと思う人がどれほどいるか分かりませんが、それでも公的書面に記録が残るのは心理的にプレッシャーですよね。
まだ若いカップルだと、今の関係がずっと続くのか自信がないなどの理由で、事実婚にメリットを感じる場合があるようです。
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事実婚のメリット③親きょうだいが反対しても結婚できる
事実婚のメリットその③は、親きょうだいが結婚に反対している場合でも、結婚生活が始められるということです。
成人の男女が婚姻届を出す場合、親の同意は不要です。つまり、親やきょうだいがいくら反対しても、それを理由に結婚できないということはない。それは事実婚でも法律婚でも同じです。
しかし実際には、親が反対している相手と婚姻届を出し、苗字まで変えてしまうことは、かなり抵抗を感じるのではないでしょうか。
それを勝手にするということは、親との関係が決定的に破綻することを意味するからです。
最初にも書いたように、事実婚とはただの同棲と異なり、お互いに扶養の義務があり、一方的に関係を壊した場合は慰謝料、子供をつくった場合は養育費を払わなければならないなど、実態は法律婚とほとんど変わらないのですが、このような制度に馴染みがない親世代には、同棲と同じようなものに見えるかもしれません。
入籍、挙式など、形式的なケジメにこだわる親世代を刺激しないという意味あいで、事実婚にメリットを感じる人は多いようです。
事実婚のメリット④男性の家に入るイメージがない
事実婚のメリットその④は、結婚しても夫となる人の『家に入る』というイメージを持たずに済むこと。
結婚をすると、女性は男性の家に入り、夫の両親などと同居し、『嫁』と呼ばれる… ほんの数十年前まではこれが当たり前でした。
結婚をしたら新居で夫婦だけで暮らし始めるのが一般的な今日では、こうしたイメージは薄くなりましたが、それでも女性は入籍、挙式をすると、『自分は嫁なんだ』と思い知らされる場面が出てきます。
たとえば、法事などでの夫の親戚との付き合い。特に田舎の方だと、年配の男性が何人も集まり、あなたは姑など他の女性たちと食事やお酒の世話。動きが悪いとイヤミを言われ、男性たちからは『子供はまだか』など、無遠慮な質問を浴びせられる。そんな昭和のドラマのような光景が現実に繰り広げられるのです。
そうした煩わしさを避けられるというのも、事実婚にメリットを感じる理由です。
事実婚とは、親戚づきあいを一切しないこという意味ではありませんが、事実婚に馴染みのない世代には、内縁の妻は単なる同棲相手のようにも見えるので、これを利用して避けることができます。
逆に入籍、挙式までした場合、親戚との交流は避けがたくなるでしょう。
ただ、親戚付き合いを一切しないと、将来子供ができても正月にお年玉をくれる人がほとんどいない、というデメリットも覚悟しなければなりませんね。
事実婚のメリット⑤タイミングを選んで入籍できる
事実婚をして内縁の妻となり、夫の扶養家族となるなど、実質的に結婚生活を始めたからといって、ずっとそのままの関係を続けなければならないということはありません。ふたりが同意できれば、人生のどこかの段階で、入籍して法律婚に移行することができますが、その逆は、基本的にはあり得ません。結婚生活を続けながら、タイミングを選んで入籍できる。これが事実婚のメリットその⑤です。
タイミングを選ばなければならない理由は、メリット①~④にも関連します。具体的には、事実婚を数年続け、夫婦の信頼関係が強まり、双方の親きょうだいにも夫婦と認められるようになったタイミングで入籍に踏み切るケース。女性の仕事が落ち着き、苗字を変えてもあまり支障がなくなった段階で入籍するケース。そして子供ができたタイミングで入籍するケースなどです。
こうしたことができるという意味あいで、事実婚とは法律婚よりも自由度が高いしくみだと言えます。
一方、事実婚を長年続けてもそうしたきっかけが訪れず、または法律婚という制度に馴染めずに、晩年になるまで事実婚を続けるカップルもいます。
すると、後半で紹介するような、年金や相続といった点でのデメリットが、問題となってくるのです。