記事の目次
【はじめに】事実婚ってなに?
はじめに、事実婚とは何か、その意味について説明します。
男性と女性が結婚をすると、一般的には、市役所等に婚姻届を提出し、ふたりで同じ戸籍に入ります。
これに対して、結婚をするという事実は同じで、周囲にも夫婦と名のるけれど、あえて婚姻届を出さないでいる。これが事実婚の意味です。
事実婚の関係は内縁関係とも呼ばれ、夫は内縁の夫、妻は内縁の妻と呼ばれます。
婚姻届を出さない、入籍をしないという点では同棲と似ていますが、お互いを夫婦と認め、普通に子供もつくる、という点が大きく異なります。また事実婚をすると、夫婦お互いや、自分の子供に対して扶養する義務も生まれます。つまり事実婚とは、法的な意味では夫婦ではないけれど、事実上、夫婦として一緒に暮らして行くことなのです。
事実婚には、婚姻届を出す結婚(区別するため、法律婚、届出婚と呼ばれます)にはないメリット、自由度があるため、様々な事情から法律婚ができない、踏み切れないカップルには、救いの手になるかも知れません。
しかしそこには当然、デメリットもある。このかたちの結婚をえらぶなら、事実婚とはどんなメリット、デメリットを持つものなのか、その意味を詳しく知っておく必要があります。
事実婚と法律婚
この問題の特徴は、どうしても法律や税金、社会など、めんどくさい話が絡んでくる点です。たとえば、前述の通り、事実婚の夫婦は、内縁の夫、内縁の妻と呼ばれますが、これは法律用語です。扶養(養い、面倒を見ること)ということばもよく登場します。
ネット上でもこの問題を扱うサイトは少なくありませんが、どうしても堅苦しく分かりにくい話になりがち。そこでこの記事では、なるべく簡単に頭に入るよう、意味の分かりにくいことばを使わないよう気をつけて、お話ししていきたいと思います。
さて、事実婚と法律婚。どちらを選んでも、夫婦が普通に平穏に暮らしている時は、大きな違いはありません。
共働きなら生活費を出し合い、ひとりが働くならもう一人は主婦(主夫)として家庭を守る。子供はふたりで協力して愛情をもって扶養する。
事実婚とは同棲などとは違い、結婚のひとつのかたちなのですから、あたりまえですよね。
それが、夫婦どちらかの都合やわがままで、しない、できないということになった時、責任や義務のあるなし、場合によっては裁判とか損害賠償といった問題になるのです。
将来こうした問題が出てくる可能性も踏まえながら、事実婚とはどのようなメリットを持つものか、見ていきましょう。
事実婚のメリット①姓を変えなくてもいい
事実婚のメリットその①は、結婚しても姓(苗字)を変えなくてもいいことです。
婚姻届を提出して法律上の夫婦になると、男性か女性、どちらかの姓(苗字)をふたりで名のることになります。
社会人男性が、結婚を機に苗字を変えると奇異な目で見られる風潮が今日でもあるため、女性が男性の苗字になるのが一般的ですね。
けれどこれが、女性の仕事の障害になるのです。
どんな仕事でも、他の会社と取引や交渉をする場面がありますが、特に営業系やサービス業では、相手に自分の名前を覚えてもらうことが非常に重要です。なのに法律婚では、せっかく覚えてもらった名前を、結婚したからといって変更しなければならないのです。
法律婚の夫婦が別姓を名のることは、今の日本の法律では許されておらず、国会で見直しの動きもありますが、まだまだ時間がかかりそうです。
事実婚なら、結婚して内縁の妻と呼ばれるようになっても、苗字は結婚前のまま。働き盛りの時期に名前を変えなければならないというデメリットを避け、ふたりとも結婚前の名前で仕事を続けられる。これが、多くの働く女性が事実婚にメリットを感じる理由です。
■参考記事:高学歴女子は結婚しにくい?コチラも参照!
事実婚のメリット②別れても戸籍に記録が残らない
事実婚のメリットその②は、結婚をしてもし別れることになっても、その記録が残らないこと。
法律婚で入籍して、そのあと離婚して籍を抜くと、昔は戸籍に×を付けられたことから、離婚歴のある人のことを×1、×2などと呼びますね。
このように、離婚をした人の戸籍を調べると、離婚歴があることが分かってしまいます。