バロック期になると、ドレスの袖は「ヴィラーゴ・スリーブ」と呼ばれる肘を境に二つのふくらみがあるものに変わっていきます。
最後の寵姫であるマントノン侯爵夫人が義務付けたのは「慎み深く、そして落ち着きのある色調のドレス」でしたが、ルイ14世の死後はサテンやタフタ、パステルカラーと明るく華やかなドレスへと移り変わっています。
ロココ時代のドレスの名前と特徴
この時代からコツセットで体を絞めるスタイルとなっていきます。映画などのシーンに使われることがありますが、コルセットで極限まで腰を細くし、胸元を広く開けた官能的なドレスが主流となります。
ロココ時代の特徴を一言で表すなら「華美」。マリー・アントワネットの世界観と言ったところでしょうか。
この時代に、現代でも愛用されるパニエが貴族に好まれ、よりゴージャスなドレスとなっていきます。
18世紀後半のドレスの名前と特徴
フランス革命後、貴族女性のドレスには大きな変化が見られるようになりました。
ドレスの装飾は排除され、簡素な「シュミーズ・ドレス」が主流となったエンパイア・スタイル、次にモスリンのドレスへの移行する際の「ハイウエストワンピースドレス」であるロマンチック・スタイルです。
19世紀半ばになるとミシンが発明され、合成染料も発見されます。これは、服飾全般において大きな変革の時と言えるでしょう。
鯨ひげや針金を輪状にして重ね骨組みを作り、ドレスのスカートの下に装着し形作るクリノリン・スタイルが登場します。
そして、続いてヒップラインを美しく見せる腰当「バッスル」が使われるようになり、これをバッスル・スタイルと呼んでいます。
女性をいかに美しく見せるか、どの時代も女性の美への追及は変わらないようですね。
ヨーロッパ以外の貴族が着ているドレス
ヨーロッパといえば、今も昔もファッションでは最先端の地域です。ヨーロッパ以外の貴族のドレスも基本的には変わりがありません。
しかし、その国特有の毛皮を使用していたりシンプルにこだわったりするなど、それぞれの国の歴史がドレスに反映されているのです。
ロシアの貴族が着ているドレス
かつてのロシアでは、貴族も民族衣装を着用していました。当時ロシアの民族衣装と言えば、ブラウスの上にジャンパースカート風のものですが、現在の民族衣装は刺繍も施され可愛らしい印象になっていますね。
民族衣装をまとっていた貴族たちは、ピョートル大帝の下した服装令を期に服装ががらりと変わることとなります。
そのお手本となったのがフランスの社交界でした。ロマノフ王朝時代のドレスは華やかで、腰はコルセットで細く締め上げスカートは横に大きく膨らんだタイプが主流となります。
横にだけスカートを膨らませていたのは、臣下たちが目の前に近付いた際にぶつからないため。機能性も考えられていたことが伺えますね。
宮廷服のひとつとして「ココーシニク」と呼ばれる頭飾りがありました。繊細なレースで仕上げられていて、とても華やかな印象を与えます。
スウェーデンの貴族が着ているドレス
ノーベル賞の授賞式も行われ、人気の高い北欧の国スウェーデン。実は共通民族衣装の他に約800種類もの伝統衣装が存在する国でもあるのです。
スウェーデン王室は、今も「世界一美しい王室」と呼ばれています。スウェーデンのロイヤルファミリーが一堂に会すると華やかそのものですよね。
北欧貴族は、いわゆる「貴族意識が高い」とされていたため、ドレスにもかなり気をつかっていたであろうことが容易に推測できます。
スウェーデン貴族のドレスも腰が細くゆったりと広がるスカートが特徴的ですが、落ち着きのあるデザインが多く、気品ある雰囲気を漂わせています。
中国の宮廷衣装
唐王朝時代、宮廷女性の露出度は高かったとされています。ドラマなどで薄手のひらひらしたドレスに胸の谷間…というシーンを見たことはないでしょうか。あれはかなり史実に基づいているとされているのです。
しかし、女帝に目を付けられないよう、あくまでも控えめな色やデザインにしていたとされています。宮廷女性はおしゃれをするのも命がけだったようですね。
女帝は絢爛豪華な金銀財宝を身にまとい、宮廷女性はひらひらした薄布のドレスで胸元を強調…宮廷における女性たちの思惑が見え隠れするような気がしませんか?