マスク生活で「お口の臭い」が気になった人は半数以上
新型コロナウイルスの影響でマスク生活が余儀なくされている2021年。マスクの着用と共に、「お口の臭い」に敏感になる人が増えています。
2021年に日本フィンランドむし歯予防研究会が全国の歯科衛生士201人を対象に行った調査によると、新型コロナウイルス流行前と比べ診察時に「口臭が気になる患者さんが増えた」と感じた歯科衛生士は60.7%で、増えていないと回答した人の39.3%を大きく上回る結果が出ました。
コロナ禍前に比べて患者さんの口臭が気になる歯科衛生士が増えたことから、口臭の原因はマスクにあるように思えますが、大手前短期大学歯科衛生学科の関根 伸一教授によると「口臭の原因はマスクそのものではない」と言います。
関根 伸一教授
所属:大手前短期大学 歯科衛生学科
学位:歯科医師
研究テーマ:社会系歯学・免疫学・POCT
マスクは口臭予防に!お口の臭いを感じる要因は、「マスクについたつば」
関根先生によると、本来マスクは口臭の予防に使えるアイテムだそう。口は乾いている方が臭うため、口の乾燥を防いでくれるマスクの着用は本来であれば口臭が軽減される可能性が高いのだと言います。
それではなぜ、マスクをしていると口臭が気になるのでしょうか。関根先生が理由として挙げるのは、マスクの内側に付着したつばです。マスクをして会話をするとマスクの内側につばが付着します。
つばにはたんぱく質が含まれており、そのたんぱく質が臭いの原因となるのだそう。したがって、マスクをこまめに交換することで、この臭いを軽減することができます。
口臭の原因とは
日本口臭学会が定義している口臭の国際基準によると、口臭には「生理的な口臭」と「病的な口臭」の2種類があります。
起床時や臭いの強い物を食べたときの臭い、喫煙者のたばこの臭いなどが気になるのは「生理的な口臭」。一方、歯周病のような口腔内の疾患や、がんなどの全身疾患が原因で起こるのが「病的な口臭」です。
この口臭の分類の中で、最も多い原因を占めているのが「病的な口臭」に含まれる歯周病です。歯周病は2001年に「全世界で最も蔓延している病気」としてギネスブックに載りました。
2016年に厚生労働省が行った調査では、20代前半25.7%、20代後半31.4%、30代前半33.1%と若年層でも一定数の患者がおり、若いうちから注意が必要と呼びかけられています。
口臭の原因・歯周病の予防法
関根先生によると、口臭の原因になる歯周病は、適切なケアを行うことが大切です。
①定期的な検診
まずは3か月に1回、歯科医院で検診を受けましょう。口腔内のクリーニングだけではなく、正しいハミガキの仕方や歯間ブラシ、フロスの使い方を教えてもらえるため、歯周病リスクの軽減につながります。
②口を乾燥させない習慣を作る
生理的な口臭、病的な口臭に関わらず、口臭の原因には口の乾燥が大きく関わっています。食事をするときはしっかり噛んで唾液の分泌を促すほか、顎から胸にかけてある唾液腺のマッサージも有効です。
また口がぽかんと空いたままになってしまっていると唾液の分泌量が減少し、口の中が乾きやすくなってしまいます。「ぽかん口/お口ぽかん」の子供や、口呼吸を行っている人、いびきをかく人は口が乾いてしまっているかもしれません。
口のトラブルで口を閉じることが難しい場合は、歯科医に相談し適切な治療を行うことで改善されるケースも多いです。