テニスガットの選び方
テニスを始めてマイラケットを購入したいのであれば、ラケットのタイプと共に重要となるのがガットの選択です。ガットはラケットのフェース部分に網状に張る糸のことを指します。商品の名称としてはガットもしくはストリングと記載されています。実は、2つの名称が混在する原因は科学の進歩…。
ガットは「腸」を意味する言葉で、まだ化学繊維が開発されていない時代からラケットガットやバイオリンの絃として使われていました。現在は化学繊維が多く使用され、海外ではガットよりも「糸」を意味するストリングと呼ぶことが多くなっています。
動物性繊維と化学繊維を分けるためにガットやストリングと呼び分ける人もいます。しかし、現在でもラケットに糸を張る作業は「ガット張り」と呼ばれることが当たり前。この記事ではガットとして選び方や特徴、初心者におすすめのランキングを紹介していきます。
素材で選ぶ【ナイロン・ポリエステル・ナチュラル】
ガットの素材は大きく3種類、化学繊維のナイロン・ポリエステルと牛の腸など天然素材を原料としてナチュラルです。
これらをラケットのフェース部分に縦と横に張っていきます。また、多くの人は縦と横で異なる素材のガットを組み合わせて、ボールの飛びや当たり具合を調節して自分好みのラケットに仕上げます。
ナイロン
幅広い種類があって一番万人受けする素材です。スピン性や反発性に特化したプロ仕様の商品も多く展開されています。ただし、耐久性は弱く切れやすい難点もあります。初心者から上級者まで幅広く使いこなせるガットといえるでしょう。
ポリエステル
素材の中でも一番硬く、振り抜くと力強いスピードのあるボールや強い回転かかったボールを飛ばせます。ガットが切れにくいのでパワープレイヤーにも相性がよくテニス選手にも人気です。力やテクニックを持った、中級~上級者向けのガットといえるでしょう。
ナチュラル
柔らかく打感がマイルドで軽い力でも飛距離がでます。天然素材なので雨や湿気に弱く、濡れてしまうと張り直さなければなりません。しかも、3種類の中で最も高額なため、予算に余裕がなければ手が出しにくいでしょう。
構造で選ぶ【モノフィラメント・マルチフィラメント・モノマルチ】
一般的にシェアが高いガットの素材はナイロンです。ナイロンの構造は大きく分けて2種類あって、モノフィラメントとマルチフィラメントに分類されます。そして、その両方の利点を融合させたのがモノマルチです。
モノフィラメントは芯となる糸の周りに、機能性を付加する細い繊維を巻き付けた構造をしています。強い弾力で弾き返す力が強いので反発性が高いです。
マルチフィラメントは、牛の腸など天然素材で作られたナチュラルを意識して開発されています。1000本以上の複数の太さの異なる繊維を束ねた構造をしています。形状が異なる繊維には細かい隙間ができ、反発力が柔らかくボールを包み込むような食いつきを生みます。
そして、モノマルチはモノフィラメントとマルチフィラメントの組み合わせ。芯となる糸を持ち、弾力が強すぎないソフトな打球感があります。
ガットそれぞれの特性を知ろう
ガットの素材や種類を理解したところでガットの特性を説明します。ガットは素材や構造によって、使い勝手が大きく異なります。自分のプレースタイルに合ったガットを選ぶ参考にしてくださいね。
テンション維持力に優れたガット
テンション維持力に優れているのは、ガットの中でも機能長持ちと呼ばれるナチュラルです。しかし、ナチュラルは高額でメンテナンスもやや面倒…。気軽に試したいというのであれば、ナチュラルに近いナイロンのモノフィラメントがおすすめです。
ガットが柔らかいと変形しやすく伸びやすい傾向が強いです。ある程度硬さのある素材や1.26mm以上の太めのガットを選ぶことが重要でしょう。
スピン性に優れたガット
ガットの素材の中で一番硬いポリエステルは、スピードあるボールを飛ばし強い回転をかけた力強いボールを打ちやすいです。ただし、力が弱い人の場合はガットの固さによってボールが飛び辛いと感じるかもしれません。
初心者であれば、ナイロンを選ぶといいでしょう。種類も多く万人受けするガットが豊富です。スピン性はもちろん反発力もあるので使いやすいガットといえるでしょう。
また、細めのガットを選ぶとスピン性が増します。1.25mm以下の細めのガットは反発力が高いので、ボールの伸びやスピンが良いです。