お面の中には妖怪からインスピレーションを受けたお面があります。日本の伝統芸能である能は鬼が登場する演目が多く存在し、能面を語るときに鬼の存在は欠かせません。
それでは、お面一覧を見ていきましょう!
般若のお面:恨みを持った女性が鬼になる…!
恨みを持った女性が鬼の化身となった姿の般若のお面。女性の般若のお面は、能では死魂、あるいは生霊を表します。
また、冥土(あの世)から来た幽霊や嫉妬に狂った女性など、能の演目によって役割が変わります。共通する点は、人(女性)の魂が鬼へと成り代わった姿をお面で表現しています。
つまり、鬼という存在が元々あるのではなく、人の魂の中に鬼が存在するという考え方です。
鬼神のお面:人々を脅かす荒ぶる神!
鬼神。最強の人物や畏れられる存在の形容としても使われます。女性ではありません。
鬼神のお面は、荒ぶる神を表現しています。鬼神のお面は二種類あり、一つは人々に病を振り撒く神。もう一つは病を取り除く荒ぶる神です。
つまり、相反する役割の鬼神が存在するのです。能の演目で種類や名前も変わります。よく知られているものでは「天神」や「猿飛出」が挙げられます。
鬼・妖怪にまつわる伝説…!ラブストーリー・怪談話をご紹介
様々な伝説がある鬼ですが、日本には鬼や妖怪と人間が恋に落ちたというラブストーリーも残っています。
怪談話として伝わるお話も、実は切ない恋の物語であることも少なくありません。次は鬼と妖怪にまつわるラブストーリーを見ていきましょう。まるでエッセイのような空海のお話も一緒にご紹介します。
女の鬼と人間のラブロマンス「鈴鹿御前」!
女性の鬼で有名な鬼が”鈴鹿御前”です。鈴鹿御前は、室町時代後期の女性の鬼です。
伝説では、昔、京へ奉納される貢物を奪う盗賊として鈴鹿午前は、悪行を重ねていました。そこで、鈴鹿御前討伐に立ち上がったのが田村の将軍でした。
田村の将軍は、鈴鹿御前討伐へ向かうものの恋に落ち、鈴鹿御前は子を授かります。改心した鈴鹿御前は、同じく悪事を働いていた鬼たちを退治し、25歳という若さで命を落としてしまうのです。
しかし、田村の将軍は、亡くなった鈴鹿御前の魂を取り戻そうと冥土(あの世)へ向かいます。鈴鹿御前の魂を無事に現世へ連れ戻した二人は夫婦として結ばれ、幸せな暮らしを送るのです。
鬼の伝説と言うと恐ろしいエピソードを想像しがちですが、鈴鹿御前と田村の将軍の伝説は、ハッピーエンドで幕を閉じます。
また、ストーリー展開も分かりやすいため、人気を博し、現在でも語り継がれでいる鬼伝説の一つです。
空海と「物の怪」のお話
平安時代は”妖怪”ではなく、”物の怪”と呼ばれていました。物に魂が宿り、それが何やら不吉な出来事を起こすということです。
例えば、唐(中国)に渡った空海は、ある使用人が一日の仕事が終わった後に栗を煎っていたところ毎晩、向かいの窓から手が伸びてきて、「栗をくれ」と言い、気味が悪いから見に来てほしいと相談を受けました。
空海は、泊まり込み一緒にその様子を目撃します。翌朝、窓の外にある古びた柄杓を指して、これが原因だろうとしてお経を唱え、成仏させてやります。
使用人の話では、20年以上使っていた柄杓だが、この間、とうとう底が空いて使えなくなってしまったので、窓から捨てたというのです。
しかし、空海によれば、長く使用した物には魂が宿るのだそうです。そして、よなよな栗の煎る音を聞いては、その栗をせびっていたという話です。
妖狐(ようこ)とは?最強の妖怪「九尾の狐」!
妖狐は、初め尻尾が1本しかありませんが、長い年月をかけて妖力を増長させ、次第に尾が1本ずつ増えていきます。最後には9つの尻尾を持つ”九尾の狐”と言う最強の妖怪になります。
妖狐にはいくつか種類があるので、一覧で見ていきましょう!
妖狐(ようこ)の名前一覧!狐は神の使いにもなる…!
赤狐(せきこ)
神道系の妖狐。通常の毛色の狐を「赤毛」と形容する場合もある。
白狐(びゃっこ、はくこ)
白い毛色を持ち、人々に幸福をもたらします。善狐の代表で、稲荷神社に祀られているお稲荷様の狐も、ほとんどが白狐です。
黒狐(くろこ、こくこ)
黒い毛色を持ち、北斗七星の化身と呼ばれています。
銀狐(ぎんこ)・金狐(きんこ)
それぞれ金色と銀色の毛色を持ち、月のシンボルとなっています。 二匹は、同様異質の存在で、仏教系の妖狐です。また、荼枳尼天(だきにてん)の化身とも言われています。
九尾の狐(きゅうびのきつね)
尻尾が9本ある狐。九尾の狐として知られ、白面金毛九尾の狐がいます。”九尾の妖狐”や、単純に”九尾”と呼ばれることもあります。 アニメやマンガでは最強の妖怪として登場することが多いですね。
天狐(てんこ)
千歳を超えた老狐。強力な神通力を持ち、神となった狐。 千里眼を持ち、さまざまな事物を見透かす能力があります。
空狐(くうこ)
三千歳を超え、神通力を自在に操れる最強の大神狐。天狐から、さらに2000年という長い年月を生きた善狐が空狐に成るといわれています。
仙狐(せんこ)
善狐のうち、千年以上を生きた狐。中国における狐に当たります。
辰狐(しんこ)
荼枳尼天(だきにてん)の別名。寺院の稲荷の御神体の多くは辰狐です。
野干(やかん)
荼枳尼天(だきにてん)の眷属(一族)とされています。元々はジャッカルですが、中国では馴染みが薄かったため、ほかの狐と一緒にされてしまいました。
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