高級フレンチに食事に行ったからといって、フィンガーボウルを目にしたことがないという方もいらっしゃいます。
フィンガーボウルの使い方を知っていても、そもそもフィンガーボウルを目にしたことがない人が多い事も事実です。
カトラリーを使って食事をすることが一般的になった今、実際にフィンガーボウルを使わなければいけないような指が汚れる食事をする機会はそもそも少なくなっています。
それでもオマールエビや蟹、牡蠣など、甲殻類や貝類、さらには手を使って食べても良いフルーツ類が出たときには必ずフィンガーボウルが登場します。
基本的にフィンガーボウルは
「手で召し上がっても大丈夫ですよ」
というホスト側の気遣いですから、フィンガーボウルが出てきたら手で食べてもよい食事だと理解しましょう。
もちろんナイフとフォークで頂いても問題はありません。
フィンガーボールの美しい使い方
フィンガーボウルの美しい使い方は以下の通りです。
まずフィンガーボウルが目の前に置かれますので、右手の親指・人差し指・中指の第二関節辺りまで水に浸します。
その際、軽くゆすぐような感覚で指を静かに水の中で動かします。
バシャバシャと飛沫を立ててはマナー違反です。
濡れた指はそっとフィンガーボウルから出し、膝の上のナプキンの端でそっと拭きます。
同じ手順で左手も洗います。
ナプキンの使い方
濡れた指を拭くナプキンですが、ナプキンの正しい使い方も知っておきましょう。
ナプキンはファーストドリンクが注がれる前に二つ折りにして膝に載せます。
この際、輪っかになっている方が自分に向くように置いてください。
ナプキンは汚れた口や手を拭くためのものです。
フィンガーボウルの後に指を拭くだけではありません。
(使い方)
輪っかではなく、二重になっているナプキンの下側の端で軽く拭きます。
拭いた後は汚れた端を内側に折り返しましょう。
すると汚れたナプキンが人目につくことがなくきれいです。
フィンガーボールを使った後は
フィンガーボールを使った後はウェイターが下げてくれるものです。
しかし、フィンガーボールを乗せたプレートをデザートに使用する場合もあります。
その際は自分でフィンガーボールをプレートから自分の左手に移動することもマナーの一つですから覚えておきましょう。
デザートプレートの上にドイリー(紙のコースターのようなもの)が乗り、その上にフィンガーボールが載っている場合はドイリーごと、左手に移動させます。
また、デザートプレートの奥にデザート用のカトラリーが残っている場合は、自分でデザートフォークをプレートの左に、デザートスプーンをプレートの右に置きなおします。
するとデザートを持ってきてもらう合図になるので覚えておくと素敵です。
■参考記事:職場での飲み会のマナーを押さえよう!
フィンガーボールとヴィクトリア女王
道徳の授業でもフィンガーボールの話が用いられることがあります。
その昔、ヴィクトリア女王との食事に招かれたゲストが、フィンガーボールの使い方を知らずにボールの水を飲む出来事がありました。
飲むための水ではないので、周りの人はあっけにとられてしまいますが、道徳心の強い女王はゲストに恥をかかせてはいけないと、同じように自分もフィンガーボールの水を飲むことにしたそうです。
女王がボールの水を飲むのだから、周りの貴族も真似しないわけにはいきません。
こうしてゲストは公の場で恥をかくことなく、楽しいひと時を過ごせたという道徳のお話です。
テーブルマナーは人の無知をあざ笑うためのものではなく、ゲストが気持ちよく過ごせるためのものであるという一つの道徳的な教訓ですが、とても素敵ですね。
人の事を思いやる気持ちを学ぶ道徳の授業にはピッタリです。
テーブルマナーは堅苦しくとらえられがちですが、道徳のお話にもあるように気持ちよく過ごせるためのもので、できない人を笑うものではありません。
仕事上の付き合いなどで、マナーを知らない人に出会う事はよくあります。
その際、道徳の話のようにスマートに対応できるスマートな人になりたいですね。