「しかねる」はつめたく感じないように配慮を
「しかねる」という言葉を使い断りをいれる場合、状況によっては「つめたい言い方だな…」と思われてしまうこともあります。
それは、先程ご紹介したように「できかねます」と誤った使い方をしてしまうことにより違和感を与えてしまうことも一因でしょう。
また、「しかねる」という言葉自体が相手を突き放すような印象もあります。「しかねる」を使う場合は1言だけで終わらせるのではなく、丁寧に対応するようにしましょう。
例えば「大変申し訳ございません。私は担当ではございませんので、詳細につきましてはわかりかねます」など、謝罪の言葉や状況を付け加えるなどすると良いですね。言い方も一本調子ではなく、感情を込めて相手に伝えるようにしましょう。
「しかねる」の類語と例文
「しかねる」には同じような意味を持つ言葉がいくつかあります。「しかねる」の類語について、実際に使うシーンや使い方、具体的な文章をご紹介します。
婉曲な否定や断る意味を持つ「致しかねる」
先程もご説明しましたが「いたしかねます」は、謙譲表現をつかった否定の言葉です。頼まれごとを断らなければならない場合は、「いたしかねます」を使いましょう。
ちなみに文章で書く場合は、「いたしかねます」の平仮名表記と「致しかねます」の漢字表記での使い分けができます。
「案内する」と「しかねる」のように他の動詞と組み合わせて使用するのであれば、「ご案内いたしかねます」のように平仮名で表記します。「いたしかねる」だけで使用するのであれば、「私では致しかねますので、〇〇さんへご連絡お願いいたします」のように漢字で表記します。
いくつかの選択肢から決めたくてもできない「決めかねる」
「決めかねる」という言葉で、ただ単に「できない」と否定するのではなく、迷っているということを伝えられます。
「どの案も素晴らしくて、私には決めかねる」というように、自分1人では判断するのが難しい場合に使われます。
したくてもできない「できかねる」
「できかねます」についても先程ご説明しましたが、文法上では正しいとは言い難い言葉です。しかし、ビジネスシーンではよく使われる言葉ですね。
「いたしかねます」よりも柔らかい印象になりますので、「本当はしたいけれどできない」ことを伝えたい場合には状況により使っても良いでしょう。お客様に「申し訳ございませんが、お値下げはできかねます」など伝えると、やんわりとお断りできます。
できない婉曲表現「為兼ねる」
「為兼ねる」は「しかねる」と読みます。「できない」という意味の婉曲表現です。「そのご質問には、お答え為兼ねます」というように、使われます。
未来に危険性がある「しかねない」
安全であるとは言い切れない時に、「~するかもしれない」という意味で使われます。例えば、「彼なら秘密をもらしかねない」や「こんなに気温が上がると熱中症になりかねない」といったように使います。物事に対し、悪い方へ示す表現です。
「しかねる」の使い方を覚えてスマートな対応を!
いかがでしたか?「しかねる」にはいくつかの意味があることがわかりましたね。マイナスな意味合いが強い言葉ですので、相手の気持ちに立って使用するようにしましょう。
使い方をマスターすれば、ビジネス上では非常に便利な言葉です。ぜひ、上手に活用してみてくださいね。