ギリシャ語でディミトゥラ(ディミトラ)は農耕の女神デーメーテールを指します。古典ギリシャ語で「母なる大地」を意味する地母神で、穀物の栽培を人々に教えた神といわれています。主神ゼウスを始め男女6人の神からなるオリュンポス十二神のひとりで、ゼウスの姉にあたります。
「掟をもたらす者」を意味するデーメーテール・テスモポロスという別名があります。普段は温厚だが怒ると怖い存在とされ、デーメーテール信仰の歴史は古く紀元前10世紀にまでさかのぼります。
第9位:イオアンナ
イオアンという男性名の女性形です。ギリシャ人やブルガリア人の女性に多い名前。ヘブライ語で「主は恵み深い」を意味して、ギリシャ語のイオアンニスの活用語尾を落とした形に由来しています。
そのため、日本聖書協会によって訳された日本語訳聖書にはヨハネと表記されています。
第8位:エヴァンゲリア
エヴァンゲリアは「良い」と「知らせ」を組み合わせて「伝道」といった意味を持ちます。男性に人気の名前のエヴァンゲロスと同様に、新約聖書の福音書という意味が含まれています。
福音記者であり新約聖書にも登場する、イエスの使徒ヨハネと関係のある名前といえるでしょう。聖人の概念を持つすべての宗派で聖人として崇敬されています。
第7位:アナスタシア
ヨーロッパ語で多く見られる女性名です。ナーシャやナースチャといった愛称で呼ばれることもあります。ギリシャ語では「目覚めた・復活した女性」を意味します。ギリシャ人の男性形はアナスタシオです。
4世紀のキリスト教信者で殉教者の大アナスタシアは、カトリック教会や正教会で聖人とされています。キリスト教の母を持ち深くキリスト教に傾倒、自身の財産を貧者や病者に奉仕することを生涯の務めと定めました。牢獄のキリスト教徒への支援から「解繋者」の称を与えられています。
第6位:ソフィア
古代ギリシャ語で「知恵、叡智」を意味するソピアーから派生した名前です。女性の名前だけでなく、都市の名前や建物の名前としても使用されることが多いです。
男性に人気の名前第3位で紹介した、ギリシャ王コンスタンティノス1世の妃はソフィアという名前だったそうです。ディズニー製作の3Dアニメ番組「ちいさなプリンセス ソフィア」の主人公としても知名度が高いですね。
第5位:ヨルギア
古代ギリシャ語のゲオルギオスを変形したヨルゴスの女性形がヨルギアです。「大地で働く人、農夫」を意味します。キリスト教の聖人ゲオルギオスから、キリスト教圏では人名として使われることが多いです。
ドラゴン退治伝説のあるゲオルギオスは、男性名としても女性名としても人気が高いようです。
第4位:ヴァシリキ
ヴァシリキという名前は神話や宗教に関連するものではないようです。ギリシャの島々の中でも最大の島であるクレタ島のヴァシリキに関連しているのかもしれません。
ヴァシリキは初期青銅器時代の集落遺跡があります。この遺跡で発見された土器は「ヴァシリキ様式土器」と呼ばれ、赤褐色や独特な黒と赤の光沢のある斑紋の混じった風合いが特徴です。
ヴァシリキという名前の著名人には、ギリシャの裁判官を経験後2015年にギリシャ首相に就任したヴァシリキ・タヌが挙げられます。ギリシャ歴代首相で初めての女性でした。
第3位:エカテリーニ
聖カタリナ、もしくはアレクサンドリアのカタリナに由来すると考えられます。キリスト教の聖人であり殉教者です。正教会では聖大致命女エカテリナと敬われています。
ローマ・カトリックでは十四救難聖人のひとりに挙げられて、ジャンヌ・ダルクと話した聖人といわれています。
第2位:エレーニ
女性名のエレーニはギリシャ語で「ギリシャ自身」を表すヘラス(Hellas)に関連があるといわれています。また、ヘレネーと呼ばれる女性名が神話の昔からギリシャ周辺で親しまれていたので名付けられた人が多いとも考えられます。
ヘレネーは表向きスパルタ王の娘ですが、実父はゼウスで実母がネメシスともいわれます。地上で最も美しい絶世の美女で、スパルタで信仰された樹木崇拝の女神と考えられています。彼女を取り合う男性の争いがトロイ戦争の原因となったといわれています。
第1位:マリア
ギリシャ人の女性に最も多く人気が高い名前はマリアです。イエスの母、聖母マリアに由来してます。また、新約聖書にはほかにもマグダラのマリアなど多数のマリアが登場するのでその影響も強いでしょう。
聖母マリアはカトリック教会と聖公会で語られる一般的な称号で、乙女マリア、処女マリア、神の母マリアといった呼び方もあります。