「地頭」とは、どういった意味を持つのか?
「地頭が良い人」と聞いて、あなたはどんな印象を持ちますか?「知識のある人」「暗記力のある人」というような意味では、ただの「頭の良い人」の読み方と変わりがありません。
「地頭」の本当の意味を捉えるには、「地」の漢字に注目すべきです。まず、「地」の意味を大きく2つに分けてみましょう。
「地頭」の「地」の意味・2つ
(1)「物事の基礎」
どのような仕事の種類にも、基本となる能力や知識というものがあります。筋道立った会話や、最低限のマナー、報告・連絡・相談を怠らない伝達力、などがそうです。
この基礎が無い限り、どれほど専門的な知識や行動力があったとしても、仕事を人並みにこなすことはできないでしょう。要領が悪い人や、人付き合いが悪い人が昇進しにくいのは周知の事実だと思います。
私たちは、仕事人であるよりも先に「社会人」、もしくは「常識人」でなくてはならないのです。
「地頭」の「地」は、このような物事の基礎として必要な能力を指す読み方です。
(2)「生まれもった本質」
「ふとした瞬間に地が出る」という言葉のように、「地」は、その人本来の性質を表すことがあります。
社会人たるもの、普段の自分とは違う仮面を被らなくてはならないときがあります。態度が悪い人に対しても謙虚な態度をとり、嫌な仕事も積極的にこなし、場の空気の読み方を学び、自分から話題を広げ・・・本来の自分とは正反対の態度をとることも、珍しいことではありません。
しかし、そういった取り繕われた自分から、ときおり「本来の自分」が顔を覗かせることがあります。職場の中でも、気の置けない同僚には自分の本心を見せて接することができるでしょう。その瞬間に現れる自分自身は、その人の真実の姿である、といっても良いと思います。
「地頭」の「地」は、その人の本来の性質、つまり本質を表す言葉でもあるのです。
「地」の読み方をふまえて、「地頭」の意味を考える
(1)「物事の基礎」
では、ここまでで紹介した「地」の読み方2つから、「地頭」の意味を考えてみましょう。
まず(1)の読み方から、「地頭」とは、「社会人としての基本知識を身に着けている」という意味を持っていることになります。
「地頭が良い」とは、「仕事に必要な専門的知識が豊富」なこととは違います。あくまで、仕事人よりも、社会人として必要な基本マナーがあるかどうか、が重要なのです。
したがって、「地頭が悪い」とは、仕事ができるできないよりも前に、社会人としてのマナーや要領に欠けている状態をあらわします。
(2)「生まれもった本質」
(2)の「生まれもった本質」から「地頭」を考えると、「地頭」はその人の先天性の能力や資質を指す、いわゆる「才能」のような意味に捉えかねません。
しかし、これはあくまで「地」の読み方です。「地頭」という言葉には、先天性の能力に加え、ビジネスの場で鍛えることのできる後天性の能力も含まれることになります。
(2)の「本質」という意味から捉えるべき「地頭」の意味とは、「自分自身で考える発想力」です。本から得た知識のみで考えるのではなく、その場の状況に合わせ、臨機応変な対応をとることができる能力を指すのです。
具体的な例で「地頭」の読み方を考えましょう
「頭が良い」とは、事前に渡されたテキストの知識を完璧に覚えこんで、どのような問題にも答えられる知識を指します。試験直前や試験中、より多くの問題をとき、より高い点数をとるための時間配分や見直しができる能力も、これに当たります。
では、「地頭が良い」とはどういう状態かというと、試験によって得た知識によって、物事の本質を捉える能力を指します。つまり、仕事に必要な基礎知識をもち、なおかつ、問題解決のためにその知識を応用することができる人を、「地頭が良い人」と呼ぶのです。