転職に大切なのは「軸」
就職や転職活動で、「軸」という言葉を耳にすることがありますよね。軸とは、企業先を選ぶときに重視する条件や希望のことです。雇用形態や業務内容、給与面、企業の経営方針など、軸となるポイントは人によってさまざま。学生時代の就活のとき、社会人経験がないこともあって何となく漠然としたイメージで決めていたという方も多いのではないでしょうか。
ですが、転職活動では今まで働いてきたという経験があります。採用担当者もそれを前提として選考を進めるので、「なぜこの企業で働きたいのか」「何を重視するのか」という軸を具体的に決めておく必要があるのです。
効率よく、軸のブレない転職をするためには、転職活動をする前に「自分が転職によって手に入れたいもの」を予めしっかり決めておくことが重要になります。転職が身近な選択肢になっている今だからこそ、焦らず考えてみましょう!
転職をしたいと思った理由をピックアップ
転職の軸を考える前に、まず現状の自分が何に困っているのか明確にすることが大切です。例えば「給料が少ない」のか、「労働時間が長い」のか、それとも、「キャリアアップをしたい」なのか…。
困っていることをクリアにすると、自分が次の職場に求める条件が必然的にわかるはず。ここでは、転職理由の考え方について詳しく解説します!
収入をアップしたい
最低どのくらいの金額が欲しいのか計算してみましょう。また「求める金額を得るために、自分がどの程度まで努力できるのか」も合わせて考えることが必要です。
- とにかくガツガツ稼いで、手に入れられるだけ収入をアップしたい。
- あまり残業は好きじゃないけど、毎日2時間くらいまでなら残業できる。
- 未経験だが勉強を頑張って、今より基本給の高い仕事につきたい。
ガツガツ稼ぎたい人は、契約件数に応じて収入がアップする営業職を探すのも良いでしょう。ただし、契約件数に応じて収入が変動するため、営業成績を維持するために多少はワークライフバランスを妥協する必要があるかもしれません。
残業代で月収の上乗せを狙うというパターンもあるでしょう。ただし、業務量の変動が収入に結びつくリスクもあります。コロナウイルス禍で残業がなくなり、収入が減ったという経験をした方も多いかと思います。
収入アップのためには、基本給をアップするのが最も確実な方法です。アップ額によってはもちろん同業種・職種内で転職することもできますが、大幅アップを狙う場合は仕事そのものの専門性を上げたり、業界自体を変えることも有効です。
ワークライフバランスを整えたい
現在業務過多であったり、長時間労働に苦しんでいる場合にまず挙げられるのはこの条件でしょう。
第一に、現在の職場が心身を壊しかねない労働環境であれば即転職を検討すべきです。場合によっては、転職の前にリフレッシュ期間をとるのもオススメです。とにかく、自分の心と身体を守れるように動いてください。
満を持して転職活動ができるようになったら、まずは収入アップと同じく、自分の中での優先度合いを考えてみましょう。言い換えれば「どの程度まで妥協できるのか」を考える作業です。
例えば、広告会社でクリエイティブ職についていた人が、保険会社の事務職に転職したとします。ワークライフバランスの改善は見込まれますが、業種も職種も異なる仕事に対応する必要があります。クリエイティブ職の業務自体は楽しめていた場合、事務職のルーティンワークはやや退屈に感じられるかもしれません。
極端な例ですが、「業務適性や仕事のやりがいよりも、ワークライフバランスを優先できるのか?」といった部分が判断基準になるパターンです。
キャリアアップをしたい
この場合、まずは自分が求めるキャリアを思い描いてみてください。そして、求めるキャリアアップが現在の会社で実現できないと考えるのであれば、それはなぜかを掘り下げましょう。
- 産休や育休制度はあるが、利用者が少なく女性が昇進できない
- 年功序列の社風で若手が活躍できない
- ニッチ業界から、もっと広い業界で挑戦したい
- 異職種に挑戦したいが社内異動が難しい
- モノを売る営業から、コンサルティング営業ができるようになりたい
自分がどのようなキャリアを描きたいのかを明確にしておくことで、軸がブレずに転職活動を行えます。
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転職の軸の作り方
何を基準に転職先を決めていいのかわからない方、まずは転職の軸を作ってみることをオススメします!自分自身と向き合ってしっかりとした転職の軸を作っておけば、途中で迷うことなく転職活動を進めることができるはずです。
軸の決め方としては、
・転職の理由を明らかにする
・自己理解を深める
・今後の自分をイメージする
・条件に優先順位をつける
などを行ってみましょう。具体的に軸を描いておくことで、面接の際もパニックにならずしっかりとした受け答えができるようになりますよ!
絶対に譲れない条件を1つだけ決める
転職者にとって、今抱えている問題が一つだけ…ということは少ないかもしれません。多くの場合、「業務量が多いわりに収入は少ない」「昇進してもっと働きたいが、ワークライフバランスを考えると不安」など、複数の問題が絡み合っていることがほとんどです。
「業務量が適切で、ワークライフバランスも保てて、収入は多く、やりがいもある」といった完璧な職場に巡り合うのが理想ですが、なかなか難しいのが現実です。また、適切な業務量が人によって異なるように、誰かにとって働きやすい職場が、自分にとってそうであるとも限りません。
そこで重要なのは、譲れない条件を1つだけ決めることです。収入を上げるのか、ワークライフバランスを整えるのか、キャリアアップを目指すのか。もちろん、それ以外でも構いません!
決めるときの目安としては、自分がどのような生活を送りたいのかを考えてみると良いでしょう。今後のキャリアプランをイメージしながら条件を絞ることで、しっかりとした軸を作ることができます。
転職したいと思った理由から導く
転職の理由から軸を絞り込むことも可能です。例えば「アイドルが好きで、いっぱいライブに行きたい!」という人の場合、少なくとも2つの選択肢があります。
- 遠征費用を捻出するために、仕事は多くてもとにかく給与がたくさんもらえる会社に勤めよう。毎日いっぱい働いて、土日は全部通うぞ!
- 休日はもちろん、平日でも突発でもライブは全部参戦したいから、いつでも休めて定時上がりの職場にしよう。その代わり、費用は日々の節約で貯める!
このように自分が叶えたいライフスタイルを想像して、まずは譲れない条件を1つだけ決めましょう。それ以外は優先順位をつけていくことで、比較検討をしやすくなります。
参考にしたい転職の軸になる条件
転職の軸は、スムーズに転職活動を進めるために欠かせない指標です。では、どのような条件が軸として捉えることができるのでしょうか?
ここでは転職の軸になる条件について、6つご紹介します!求人で確認できることを参考にしながら、あなただけの軸を考えてみてくださいね。
雇用形態
チェックしておきたい条件の1つめは、正社員や派遣、アルバイトといった雇用形態。この条件は、給与や福利厚生などの待遇面、有給休暇の有無などに大きく関わる項目でもあるので、転職の軸として優先的に考えておきたいところです。
雇用形態によっては試用期間が設けられていたり、これまでの経験やスキルなどが求められたりする場合もあります。自分のライフスタイルに合わせて働くためにも、しっかりチェックしておきましょう!
また、「スキルアップ」を軸とするならば、雇用形態問わず研修制度やサポート体制は整っているのか、ポイントとして抑えておくと安心です。
給与
転職の理由が給与面という方もいるのではないでしょうか。単に給与の額だけでなく、賞与や残業代の有無を条件にする人も少なくありません。
年収を軸として考える場合は、「希望○○万円以上」と予め決めておきましょう。具体的な数字を細かく定めておくことで、自分の条件とマッチする企業が見つかりやすくなりますよ。
給与額といえば、多くの方にとって外したくない条件のひとつですが、転職活動が上手く進まないときに見直さなければいけない条件でもあります。まずは現状より給与をアップさせることを目的にするといいでしょう。
福利厚生
ほかにも、福利厚生がしっかり完備しているかどうかを転職の軸にすることも可能です。
健康保険や厚生年金保険、雇用保険労災保険などの福利厚生というのは、法律によって各企業に義務付けられています。自分に合った転職先を探すためには、社宅や家賃補助制度の有無、各種手当、食事補助など企業が独自に定めているものに注目しましょう!
近年では、社員のモチベーションを上げるために一風変わった福利厚生を設けている企業もあるようですね。自分と企業、双方の重視する点が合致するのか事前に確認しておくことがポイントといえます。
ワークライフバランス
ワークライフバランスとは、仕事とプライベートの調和を意味する言葉です。この条件を重視したい方は、「休日数」を転職の軸としてみてはいかがでしょう。
休日が週末(土日)なのか平日なのか、長期休暇がとれるのかは求人の応募条件で確認できます。有給休暇についても、企業によって付与日数や取得率が異なるので忘れずにチェックしておきましょう。
また、企業がワークライフバランスの実現に向けて、どのような取り組みを行っているのか把握しておくことも大切です。ミスマッチを防ぐためにも、「休日が多い分、仕事が忙しいのではないか」「残業時間が多いのでは」といった点に注目しておくといいでしょう。
働き方
「働き方改革」を推進している企業も増えてきましたよね。希望する職種にもよりますが、自分に合った働き方を転職の軸にすることもできます。
この条件であれば、リモートワークで場所を気にせず働いたり時短勤務で空いた時間を子育てに費やしたりなど、さまざまな働き方を目指すことが可能です。フレックスタイム制を取り入れている企業であれば、本人や家族に合わせて労働時間を調整することができるので、仕事やプライベートをうまく両立できるようになるでしょう。
もうひとつ、働き方の条件で注目したいのが月間の平均残業時間。自社のデータを公開している企業であれば簡単に残業時間を知ることができますが、実際に働いてみないとわからないというケースもあるでしょう。その場合は、転職エージェントや口コミサイトなどを通じて情報を得ることをオススメします!
社風や経営方針
企業の考え方や価値観を転職の軸にする人も多いようですね。新卒の就活で重視されることが多い条件ですが、 転職先を決める上でも重要な判断材料になります。
社風についてはイマイチ把握しづらいところがあるため、企業のホームページやSNSである程度の雰囲気を掴んでおきましょう。上場企業であることを軸にする場合は、企業の規模や資本金、従業員数などが参考になります。ベンチャー企業であれば設立年数から判断して選ぶのも方法のひとつです。
最近では「SDGs」を意識する企業も多く、「世の中に貢献したい」という軸をもっているならば、社会への貢献度が高い企業なのか判断して選ぶことが大切。生活のインフラ作りに力を入れている企業を転職先の候補に入れてみましょう。
転職の軸が定まらないときは具体的に書き出す
条件が絞り込めず、「転職の軸がどうしても定まらない…」という方もいるのではないでしょうか。特に、転職したい理由がいくつもあるとすれば、それに比例して譲れない条件も多くなるので軸がブレやすくなりがち。
そんなときは、「自分の希望の中でも特に重要視していること」をメモなどに書き出して優先順位をつけてみましょう。このように順位付けを行うことで、企業を絞り過ぎたり心変わりしたりという事態を防いでくれます。
自分のやりたいこと、会社に求めることを考えていると希望条件がどんどん出てくるはず。ぜひじっくりと時間をかけて、転職をする上で自分が大切だと思える条件に順位をつけてみてくださいね。
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まとめ
転職は、自分が求めるライフスタイルやキャリアプランを叶えるための大きなチャンス。だからこそ、しっかりと下準備をして軸を決めておくことが大事です。
「現在の自分」と「なりたい自分」の間にあるギャップを具体的に捉えることで、叶えたい希望や、本当に求めるものが見えてくるはず。それが決まれば、大きく迷うこともなくなります。
動き出す前に、自分の中でブレない軸を決めておくことが後悔しない転職を実現するコツです。