記事の目次
- 1.そもそもアレルギーとは何だろう?
- 2.母乳によるアレルギー症状(1):湿疹について
- 3.母乳によるアレルギー症状(2):アナフィラキシーについて
- 4.母乳によるアレルギー症状(3)咳・呼吸困難
- 5.母乳によるアレルギー症状(4)粘膜の腫れ・かゆみ
- 6.母乳によるアレルギー症状(5)嘔吐・下痢
- 7.母乳とアレルギーの関係を考える前に・・・
- 8.母乳によるアレルギーが起こる可能性は高いの?
- 9.母乳によるアレルギー性反応を軽くするためには?
- 10.母乳のアレルギーを防ぐには、食事後の一手間が大事
- 11.母乳を与えることによって、アレルギーに対する免疫がつく?
- 12.母乳のアレルギーを防ぐには、いつまで注意が必要?
- 13.母乳に含まれることの多い、アレルギー原因物質一覧
- 14.母乳を与える前に、赤ちゃんのアレルギー検査をしよう
- 15.アレルギー検査は、母乳を与える前のいつごろにできる?
- 16.母乳を与える前にするアレルギー検査(1)血液検査
- 17.母乳を与える前にするアレルギー検査(2)皮膚検査
- 18.母乳による赤ちゃんのアレルギーは予防できる?
- 19.授乳中の食生活を気をつけても、アレルギーは予防できない
- 20.母乳のアレルギーを軽くするには、バランスのよい食事が一番
- 21.アレルギーを予防するために、食事以外でできること
- 22.アレルギー予防法:ほこりやダニを掃除する
- 23.まとめ:母乳とアレルギーの正しい知識を知ろう
- 24.母乳育児が原因のアレルギーはありえない!
(2)パッチテスト
あらかじめ小さな紙に、アレルギーの原因となる物質を沁みこませます。それを赤ちゃんの背中や二の腕などに貼り付け、48時間ほど放置し、経過を観察します。その後、皮膚にアレルギー性反応が起こっているかどうかを確かめ、アレルゲンを特定します。
アレルゲンを特定するまでに48時間の時間が必要なことがデメリットですが、赤ちゃんの皮膚にまったく傷をつける必要が無い点で、とても優秀なアレルギー検査方法です。
母乳による赤ちゃんのアレルギーは予防できる?
さて、ここまでの内容で、赤ちゃんが母乳によってアレルギー反応を起こすことはわかりました。しかし、ある一つの疑問が湧いてきます。
つまり、「母乳を与える以前、つまり妊娠中の食生活に気を配れば、赤ちゃんのアレルギー体質を予防できるのではないか?」という疑問です。
裏を返せば、「妊娠中や授乳中のお母さんの食生活が原因で、赤ちゃんがアレルギーになるのでは?」という疑問にもなります。
たしかに、ほんの微量のアレルゲンでも赤ちゃんに影響を与えることがわかった今では、妊娠中のお母さんの食生活が、赤ちゃんの体質を大きく左右するように感じられます。ならば、アレルゲンを除去した食事を取れば、アレルギー体質になることを防げるのではないかと考えるのも、もっともな意見です。
しかし、残念ながら、これはまったくの間違いなのです。
授乳中の食生活を気をつけても、アレルギーは予防できない
妊娠中や授乳中のお母さんの食生活が、赤ちゃんのアレルギー体質を決めるものではありません。
その証拠に、赤ちゃんのアレルギー症状全体を予防する研究は世界各国で行われていますが、そのどれもが失敗に終わっています。
たとえば、妊娠中や授乳中に、お母さんが卵を100%取り除いた食事を取ったとしましょう。これは、加工食品はもちろん、卵をごくわずかでも含む食事をすべて排除しなければなりません。とても現実的な方法ではないと思います。
それでも、赤ちゃんのためにそのような食事法を実践したい、というお母さんは多いでしょう。ただし、どれほど卵を厳密に排除したとしても、別の食材のアレルギーを防ぐことはできないのです。
小麦・牛乳・ソバなど、アレルゲンとなる食材は数多くあります。そのすべてを100%取り除いた食事を、妊娠中の10ヶ月、さらに授乳中の10ヶ月取り続けるのは、不可能と言っていいと思います。
つまり、どれほど厳密にお母さんが食事に気を使ったところで、赤ちゃんのアレルギー症状を0にすることはできないのです。
母乳のアレルギーを軽くするには、バランスのよい食事が一番
赤ちゃんがアレルギー体質になることを、お母さんの食事によって防ぐことはできない、という結論になってしまいました。しかしそれでも、お母さんの食事を気をつけることによって、赤ちゃんの発育に好影響を及ぼすことはできます。
たとえば、アレルゲンの代表格である卵や乳製品は、妊娠中や授乳中のお母さんが食べ過ぎると、赤ちゃんのアレルギーを引き起こす原因になる、という意見があるのです。
もう少し詳しく言い換えると、「赤ちゃんが生後8ヶ月を迎えるまでは、お母さんは高カロリー・高たんぱくの食事を取らないよう注意すべきである」、という意見です。
これは、妊娠中や授乳中でない人にとっても重要なことです。生活習慣病を予防する養生訓が、赤ちゃんのアレルギー予防も叶える可能性がある、というということですね。
やはり、栄養の偏った食生活や、高カロリーの食事を食べることは、赤ちゃんの発育にも悪影響を及ぼすようです。当然ですが、バランスのよい食生活を送ること、つまりはおいしい母乳を出す食生活を送ることが、一番赤ちゃんのためになるのでしょう。
アレルギーを予防するために、食事以外でできること
アレルギーの原因となる物質は、母乳に含まれる食事成分だけではありません。
ダニやハウスダスト・ペットの垢など、ごく身近な環境が赤ちゃんのアレルギーを誘発する可能性もあります。また、大人でも悩まされるタバコ・花粉も、赤ちゃんのアレルギー体質に悪影響を及ぼすことがあります。
日常生活のいたるところに、赤ちゃんのアレルゲンは潜んでいるのです。
先ほど紹介したアレルギー検査では、食品だけではなく、こういった日常生活に潜むアレルゲンを特定することができます。なかには、アレルゲンを複数もつ赤ちゃんもいるため、やはり、アレルギー検査を受けて危険から身を守ることは大事なようです。
ただし、アレルゲンを100%排除した生活を送ることは不可能です。そのため、アレルギー検査を受けた医療機関に、アレルゲンを避ける方法を聞いておいたほうがよいでしょう。
参考までに、すぐにできるアレルゲン回避方法を1つお伝えします。
アレルギー予防法:ほこりやダニを掃除する
生活環境が原因によって起こるアレルギーに悩まされる場合は、できるかぎり、室内を清潔にするよう努力しましょう。
ほこりがたまりやすい場所を定期的に掃除したり、天気のよい日は布団を干したり、アレルゲン除去のためにできることはたくさんあります。身の回りをキレイにするだけで、改善されるアレルギー症状もあるのです。
赤ちゃんが育つ場所がキレイに掃除されているのは、当然と言えば当然です。子育て中の自覚をもつことは、赤ちゃんのアレルギー症状を抑えることにも役立ちます。
まとめ:母乳とアレルギーの正しい知識を知ろう
食事によるアレルギーが発症するのは、赤ちゃんが0~2歳になるまでの期間で一番多いとされています。アレルギーは、アナフィラキシーのような即時性の反応を示すことがあり、その危険性を見過ごすことはできません。アナフィラキシー以外の反応が起きたとしても、湿疹や蕁麻疹で苦しむ赤ちゃんの姿を見るのはイヤですよね。
湿疹・蕁麻疹・呼吸困難など、時に命に危険が及ぶこともあるアレルギーですが、上手に付き合えば、子育て中も必要以上に心配する必要はありません。特に、母乳とアレルギーの関係性を知っておけば、いざというときの対処にも困らないはずです。
赤ちゃんのアレルギーが疑われる場合は、小児科に受診し、できることならばアレルギー検査を受けるようにしましょう。