妊娠中に寒いと感じる理由の1つには、全身の血行不良が考えられます。
妊娠している妊婦さんに限らず、手足が冷えやすくて、夏でも寒いと感じやすい人の多くが、血行が悪くて、全身に温かい血液が十分にいきわたっていないことが多くあります。
妊娠中は、特にお腹が大きくなってくる後期になると、大きくなった子宮が骨盤を圧迫するようになって、血行が滞りがちになってしまいます。
この冷えというのは、妊娠後期になるとなかなか改善させることが難しくなってくるものです。
もともと手足に冷えを感じている人が、妊娠してからさらに寒いと感じる様になったら、妊娠初期のうちに血行不良を改善させるように、努力することをお勧めします。
【原因③】基礎体温の上昇
妊娠初期に寒いと感じる一番の理由は、黄体ホルモンが大量に分泌されることによって、基礎体温が上がることです。
風邪の引き初めに微熱が続くと、寒気を感じる方もいるでしょう。
妊娠初期というのは、基礎体温が上がるのですが、この体温の上昇により、風邪の引き初めに微熱が出たように感じてしまうのです。
黄体ホルモンは妊娠を継続させるためにとても大切なホルモンで、黄体ホルモンによる基礎体温の上昇が続く高温期は、妊娠初期の妊娠4か月まで続きます。
妊娠5か月に入って安定期に入ると、基礎体温も下がってくるので、寒いと感じることもなくなってきます。
この黄体ホルモンによる高温期は、妊娠継続に大切な現象です。
なんとなく風邪の引き始めのような微熱のような感じが続くのは、妊娠4か月までは仕方がないことだと思って対応するしかありません。
【原因④】つわりの一種や風邪
妊娠初期に寒いと感じるのは、つわりや風邪も原因として考えられます。吐き気や胃のムカつきに代表されるつわりですが、その症状は様々なことが起こるものです。
だるさや、ほてり、のぼせ、頭痛、腹痛、下痢といった、まるで風邪のような症状が出ることもあり、その中に寒気を感じても不思議ではありません。
つわりというのは1つだけの症状が出るのではなく、いろいろな症状が組み合わさって出るものです。辛い時にはその症状を軽減させるように努めましょう。
また、妊娠初期には妊娠を継続させるために、免疫系が赤ちゃんを攻撃しないように免疫力が低下します。そのために実際に風邪を引きやすい状態にもなってしまいます。
風邪を引いてしまったら、身体を温かくするなどして、早く治すようにしましょう。
風邪やつわりで寒気を感じる場合には、あまり心配し過ぎることはありません。
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妊娠初期に寒いと感じる症状とは?
妊娠初期に寒いと感じることはよくあることですが、いったいその症状はどんなものが多いのでしょうか?
妊娠初期に感じる寒気の症状は、人によって全く違うと言っていいでしょう。
なんとなく風邪の引き始めのように、背中がゾクゾクするような感じが続く人もいれば、身体の芯はゾクゾクするのに、頭や手足の先はのぼせているような感じがする人もいます。
そうかと思うと、夏でもたっぷり肩まで毛布を掛けないと、寒くていられない、という強い寒気を感じる人もいます。
つわりの症状が一人ひとり全く違う様に、妊娠初期の寒気も一人ひとり全く違ってくるものです。
また、寒気を感じやすい期間も人それぞれで、妊娠5週以降に妊娠に気が付いてから寒気を感じるようになった、という人もいますし、妊娠3週目くらいので寒気を感じるようになる人もいます。
妊娠初期に寒いと感じることは赤ちゃんへ影響するの?
ここまで妊娠初期に寒いと感じる原因についてみてきましたが、妊娠初期に寒いと感じることは赤ちゃんに何か影響を及ぼすのでしょうか。
妊婦さんにとって心配な症状があると流産するのではないかと思っていまいますが、妊娠中の寒気は流産には影響しないので安心してください。
しかし寒いと感じることは流産の原因にはならないけれども、胎児に影響がある、という研究結果が出ています。
妊娠中に寒気を感じやすい妊婦から生まれた赤ちゃんには低体重児が多いとのことです。どうして妊娠中に寒いと感じやすい妊婦さんからは低体重児が生まれやすいのでしょうか?
それは妊娠中に寒いと感じやすい妊婦さんの体質が影響しています。
寒気を感じやすい人の多くが、手足が血行不良で冷えていたり、貧血を持っていたりします。
血行不良になったり、貧血になるのは、血液中に十分な酸素や栄養素が含まれていないことが原因です。
そのために赤ちゃんにも発育に十分な栄養素が回っていかずに、低体重児になりやすいと考えられています。
妊娠初期までに終わる黄体ホルモンの影響やつわりで感じる寒気なら、妊婦さんが誰でも経験することなので問題ありませんが、妊娠後期に入っても寒気が続くようなら、早めに改善しないと、お腹の赤ちゃんの発育に影響が出てきてしまいます。
妊娠初期に寒い!こんな時には気を付けて!
妊娠後期まで続く、冷えや貧血による寒気というのは、赤ちゃんの発育に影響を与える可能性があります。
しかし、妊娠初期に寒いと感じるのは、それほど心配することはありません。
また冷えや貧血による寒気があって、赤ちゃんの体重が少なめになったとしても、奇形や障害を負うようなレベルの発育不良が起こることはほとんどありません。
冷えや貧血は改善することが大切ですが、妊娠中に寒気を感じたからといって、それほど心配し過ぎるのは、却ってストレスの元になるのでよくないことです。
しかし、寒気の中には流産などの緊急事態につながる危険な寒気もあります。
次に挙げるような症状を併発する寒気が起きた場合には、急いでかかりつけの産婦人科や産院に相談して、必要なら専門医を紹介してもらうことが大切です。